☆68話：もっと男らしく ページ22
「一喜君は、どんな映画が見たい？」
「え、うーん、そうだなぁ…………。コメディ系
とか」
「オッケー！…………うーん、でもあんまり
コメディ系の映画やってないね」
「夏だからホラー映画が多いとか？」
「うん、ホラーとかサスペンスが多いね。
うーん……………。あ、【Triangle Love】、
まだ映画やってるよ！」
「え、マジ？」
【Triangle Love】というのは、今年の
学園祭でうちのクラスがやることになった
演劇の元となった作品。原作は漫画なんだけど、
最近映画化されたこともあって、高校生の間ですごく流行っており、普段恋愛漫画なるものを
読まない俺でもタイトルを知っていた。
Aちゃんと主役を演じることになった
から、Aちゃんが借りた後で、俺も
柊木から原作漫画を借りて読んだり、
休み時間やホームルームの時間などを使って
台本読みをしたりして一学期から練習を
重ねてはいるけど、最近そういえば、A
ちゃんと全然練習できてないな。
「参考までに、見に行ってみる？」
「うん、いいな！」
「恋愛映画とか、見に行くの初めて」
「俺も」
「い、いつ見に行く？」
「そうだなぁ。確か今年は、11〜15日が
お盆休みだっけ」
「うん。一喜君、いつが開いてる？」
「お盆休みは部活ないし、俺はいつでも
大丈夫。Aちゃんは？」
「私は、お盆休みの最初の二日間はおばあ
ちゃんのお家行くけど、それ以外なら大丈夫
だよ」
「じゃあ15日で」
「オッケー、最終日ね」
「次の日登校日だし、いいなと思って」
「あ、そっか。劇の練習するんだったね！」
「うん」
でも、あくまで劇のため、だけじゃなくて。
せっかくの初デートなんだし、もっと………、
もっとなんか………………。
「ねえ、映画見に行った帰りに、最近できた
ケーキ屋さん寄らない？ショートケーキとプリンアラモードがね、すごく美味しいんだって」
「へぇ！いいな、じゃあ帰りに
行ってみるか！」
「うん！」
って、違ーーう！！
Aちゃんの提案を尊重するのもいい
けど、しすぎもダメだよな。男として、
Aちゃんをちゃんとリードできる
ように、もっと頑張らないと…………！
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作者名：咲彩 | 作成日時：2021年4月12日 21時
