☆65話:連絡 ページ19
「はぁぁぁー………………」
部活後の部室にて。俺は練習着から制服に
着替えながら、思わずため息をついた。
最近お互いに忙しくて、Aちゃんと
全然会えてない。
せっかく付き合い始めたというのに、
付き合う前よりも距離がある気がする。
スマホがあるんだから、会えなくても連絡すれば
いいだろと思うかもしれないが、あっちは
受験勉強で忙しいだろうし、俺も部活とかで
毎日忙しくて、部活終わって家に帰ると、ご飯を食べてお風呂に入ったらすぐ寝てしまうから、しようにもできないのだ。
確かAちゃんと最後に会ったのは、
俺が告白して、付き合い始めた日。
もうあれからどれくらい経ったっけ?
一週間くらい?いや、合宿が行われたのは
7月の下旬だから、もう二週間か。
学校で授業を受けていても、二週間って
すごくあっという間に感じるけど、最近は
それ以上に早く感じてしまう。
「なんか、今朝に教室で全く同じ光景見たな」
隣で着替えをしていた越後が、不意にそう言った。
「え?」
「全く同じように落ち込んで、ため息ついてるやつがいたんだよ」
「へ、へぇ………」
越後は進学希望だから、昼間は教室で受験対策の補習受けてるけど、確かに受験生ってキツい
もんな。勉強で行き詰まって、そうなってた
やつがいたんだろうと思い、あまり深く考えずいると、越後が言葉を続けた。
「お前、姫川と最近会ってないんだって?
姫川が、最近会えなくてさみしいって
物凄く落ち込んでたぞ」
「え…………、」
「じゃあ、二人でどこか行ったりとかも全く
したことはないんですか?」
「うん、そういえば全くしたことないな」
初デートどころか、付き合った日以来会って
ないし話してもないんだよな。
付き合い始めたはいいけど、お互い忙しいから全然会えなくて、どんどん気持ちがすれ違って自然消滅、なんてことだけは避けたい。
せめて二年の頃から付き合っていたらな、
なんて、今更どうにもならないことを
考えてしまう。
「丸、お前から連絡してみたら?もうすぐ
お盆休みに入るだろ?お盆休みは学校も塾も
お休みになるだろうから」
「え、そうなの?」
「うん。この機会逃したら、二学期始まるまで
全然会えないってことになったらどうするんだよ?
夏休み終わるまで長いんだからさ」
「そ、そうだよな」
越後の言う通り、Aちゃんに連絡
してみようかな。
俺も、彼女に会いたくて堪らないから。
「ありがと、越後」
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作者名:咲彩 | 作成日時:2021年4月12日 21時