チューベローズの恋人【呪術廻戦】

番外編1「浅草橋哀歌」 ページ44

※小説版2に出てたお話です。原作読みたい方は是非買ってみてください。






午後五時四十五分。
地下鉄は浅草橋の改札を出た所。

硝子から送られてきた位置情報を確認しながら
街の方へ歩いて行ると見慣れた後ろ姿に目が留まる。

いつものようにスーツ姿ではないが
あの疲労感を身に纏った何とも言えない姿は彼で間違いないだろう。






『奇遇だね、こんなとこで。』

「わっ、…香月さん」





『今日はオフなの？』

「あ、はい。家入さんに飲みに誘われまして…」






『伊地知君も？私もだよ。ちょうど良かった、一緒に行こう。』






正直初めて行くお店に地図を頼りに行くのを少々煩わしく感じていた。
真面目な彼なら事前に道順は確認しているだろうし、安心して付いて行ける。

仕事でペアになることも多い伊地知君だが、
プライベートで関わるのは初めてのことだ。








「任務の方はもう終わったんですか？」

『うん。さっき帰ってきたとこだよ。最近忙しかったからね。伊地知君も疲れてるでしょ。』





「まあ、そうですね。胃が痛みます。」

『補助監督には頭が上がらないよ。本当に。最近まではフリーでやってたから、随分仕事がやりやすくなった。』






「……香月さん…」

『悟に嫌がらせされたら私に言ってくれてもいいよ。叱っておくから。』






「……っ香月さん…」

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