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「お疲れ様です、………凄いお土産ですね…」
『ごめん、ごめん。迎えありがと、伊地知君。』
突然の香月さんからのメールに驚き
言われるがままに駅まで迎えに行くと
建物の陰に立ってひと際目立った女性が1人。
僕のような平凡な人間なら間違いなく目立たないし、
彼女は五条さんのように変な頭や恰好ではないのだが、
周囲の人影は明らかに彼女を気にかけている。
荷物を持つのを手伝いに行くと視線が痛いほど刺さるし、
そんな笑顔なんて見せられたら
ひそひそと悪口さえ聞こえてくる。
違う。違うんだ。
僕はただ仕事をしているだけなんだ…
「ご自宅で良いですか?五条さんも今夜にはこっちに…」
一般人の視線から逃げるように車へ案内し、
一応行き先の確認をする。
『いや、津美紀の所にお願い。』
「え…、まさか…」
『さっき恵から連絡が入ったの。今2級しか空きがないんでしょう?』
「いや、まあ……それはそうですが…」
『本当は私が埼玉に行くべきなんだけど。用件だけ言って切られちゃった。どうせ繋がらないし、仕方ないから今夜は私が津美紀の所で過ごすよ。』
「……そうですカ、」
『なに?』
「…いや、…その」
『…?』
「…実は、かなり任務が溜まってまして…」
『…、あ…』
「明日の朝出発です。すでにチケットは購入済みで先方にも連絡を…」
『…………。』
しまった、と額に手を当て、大きく息を吐く香月さん。
あの大量のお土産はきっと五条さんの機嫌を直すために買ってきた品たちだろう。
彼女の予想通り、
ここ数日の五条さんはピークで機嫌が悪い。
電話は出てくれないし、
並んで歩いてるだけで舌打ちされる。
僕としても
一日でも早く彼の機嫌を直して欲しかった…
「…すみません。」
『いや、私が悪い。…伊地知君、この後の予定は?』
「五条さんの出張が予定より早く終わったので、空港へ迎えに行きます。」
『ちょうど良いや。コレ、渡しといて。バウムクーヘンあげるから。』
数ある紙袋の中から一つを助手席に置いて、
もう立ち直ったのか外の賑やかな街の風景に目を移す香月さん。
もし彼女が五条さんのために買ったお土産の一つを
僕が貰ったとバレたら確実に殴られる。
返そうと口を開こうとするが
内心嬉しいのとバウムクーヘンが楽しみな気持ちに負け、
結局お礼を言って貰ってしまった。
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妃 - すごく素敵な作品でした!個人的にその後の恵を見たいです。続編も楽しく読みます。 (2020年11月27日 20時) (レス) id: edafa70660 (このIDを非表示/違反報告)
mimi(プロフ) - 初めまして。昨日の夜からこのシリーズ全て読ませて頂きました、振り回される五条凄く好きです、主人公も好きです…!こちらは完結でしょうか?もし続きあれば楽しみにしています! (2020年11月17日 11時) (レス) id: 4447061f23 (このIDを非表示/違反報告)
もっち(プロフ) - とっても面白く、素敵な小説で何回も読み返しています(><)!!アンケートの件ですが「チューベローズの初恋 続」後の9年間のお話を希望します...!!! (2020年10月18日 1時) (レス) id: ff2316c362 (このIDを非表示/違反報告)
SS(プロフ) - 9年後のお話希望です!新しい方のお話とも悩んだのですが、まだチューベローズの五条悟が読みたいです、、! (2020年10月17日 20時) (レス) id: 9f946892a2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆで卵(プロフ) - 度々コメント失礼します!チューベローズの初恋 短編集を読んでみたいです…!!!元許嫁のお話もとても面白そうで悩んでしまいましたが、チューベローズの初恋をもっと読みたいなと思いました。新しい作品も応援してます!! (2020年10月17日 0時) (レス) id: 18a070aa90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:縞 | 作成日時:2020年5月23日 12時