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「僕の”想い”が軽く見えてる?そんなに心配なら、証明してあげようか?どんなに愛してるか。」
「やめてください。」
「えー、たまには惚気させてよ。」
「嫌がらせだろ。」
俺が余計なことを言ったせいで、
五条先生に変なスイッチが入ってしまった。
別に、
早く結婚して欲しいなんて微塵も思ってない。
なんなら別れてくれた方が良い。
ただ、自分を責めるように
幸せを避けようとするAを見たくない。
それだけなのだ。
この男の愛の証なんて
聞いても何の役にも立たないし、
早く稽古に戻りたい。
「………もういいから、稽古を…」
「ほら、僕ってエリート御三家の跡取りじゃん。そんなのと結婚したら、どうしても伝統とかしきたりに煩い人間が付き纏うんだよ。だから無理に嫁入りはされられない。」
「…は」
「なに?」
人の話を聞かないマイペースさは健在。
しかし出てきた言葉に
思わず驚いて、声が漏れた。
毎日をノリで生きてるようなこの人の頭に
そんな建設的な考えがあったなんて思わなかった。
服の袖でサングラスの汚れを拭いながら
俯いた顔は真剣そのものだ。
軽薄で、軽躁。
こんな真剣な顔は知らない。
「……本当に真剣に考えてるんですね。」
「はあ?ちょっと。恵があんなこと言うから、真面目に答えたのに…」
「……スミマセン、」
「まあこれは建前だね。家の人間に、あの人に関わらせるつもりはないし。」
サングラスをかけ直して
喉を鳴らして独特に笑いながら近寄ってくる。
大きな手を俺の頭の上に置いて、
嫌というほど見せられてきた
Aを見るのと同じ目で俺を見つめる五条先生。
どれだけ想ってるかなんて、
この目を見れば、言われなくても嫌でも分からされる。
「まだ高1のお前には分からないよ。僕がどんなに綺麗な指輪をあげても、どんなに甘い言葉を囁いても、今はAさんに辛い思いをさせるだけ。…だから待ってる。Aさんが僕と幸せになる準備が出来るまでね。」
「……………。」
「僕らの大事なあの人は、途方もないくらい優しいんだよ。僕はそれに守られて、僕でいられたんだ。だから少しくらい、”待て”も頑張らないとね。」
「……………。」
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妃 - すごく素敵な作品でした!個人的にその後の恵を見たいです。続編も楽しく読みます。 (2020年11月27日 20時) (レス) id: edafa70660 (このIDを非表示/違反報告)
mimi(プロフ) - 初めまして。昨日の夜からこのシリーズ全て読ませて頂きました、振り回される五条凄く好きです、主人公も好きです…!こちらは完結でしょうか?もし続きあれば楽しみにしています! (2020年11月17日 11時) (レス) id: 4447061f23 (このIDを非表示/違反報告)
もっち(プロフ) - とっても面白く、素敵な小説で何回も読み返しています(><)!!アンケートの件ですが「チューベローズの初恋 続」後の9年間のお話を希望します...!!! (2020年10月18日 1時) (レス) id: ff2316c362 (このIDを非表示/違反報告)
SS(プロフ) - 9年後のお話希望です!新しい方のお話とも悩んだのですが、まだチューベローズの五条悟が読みたいです、、! (2020年10月17日 20時) (レス) id: 9f946892a2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆで卵(プロフ) - 度々コメント失礼します!チューベローズの初恋 短編集を読んでみたいです…!!!元許嫁のお話もとても面白そうで悩んでしまいましたが、チューベローズの初恋をもっと読みたいなと思いました。新しい作品も応援してます!! (2020年10月17日 0時) (レス) id: 18a070aa90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:縞 | 作成日時:2020年5月23日 12時