チューベローズの恋人【呪術廻戦】

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自分の力のなさも
未熟さも
歯痒くて、腹が立つ。


もっと才能があれば。
もっと早く大人になれたら。




1番大事な人の幸せを、
他の誰かに委ねるなんて真似をしなくて済んだのに。

俺にないものを全部持っていて、
ずっとAさんの傍にいられるのに、どうして ―









「俺の方が、Aと過ごした時間は長いです。」


「はあ？」







「あんたが任務に明け暮れてたときも、出張のときも。」


「恵？…どうしたの。殴られた腹いせ？」







「ずっと傍にいました。あんたが捨てられて、他の女に走ってた2年間も。」


「ちょ…、ほんとにへこむから…！やめてよ！」









両手で耳を塞いで子どもみたいに嫌がる五条先生を
畳みかけて子どもみたいに嫌がらせをする。

もっと落ち込んで、傷付けばいい。
あんたなんか、また惨めにAに捨てられちまえ。







「呪術師は個人競技。どんなに味方がいても、死ぬときは独り。…だからいつまで経ってもAをちゃんと幸せにしないのかよ。」


「……。」





「あんたとの結婚を、本心で拒んでるわけじゃないことくらい俺でも分かる…！ 五条先生ならっ、Aの背負ってるものも全部助けてやれるだろ！…Aを、…もっと、ちゃんと…っ」








本気じゃない。なんて言われて気が立ってたのか、
自分でもよく分からない感情が体をぐるぐる巡ってる。

五条先生は少しだけ目を見開いて、
固まったまま動かない。
いつもの様子からは想像出来ない
そんな間抜けな顔が出来たのか。







……。




大声を出したら、
変に冷静になってしまった。

自分から頼んだ稽古で、
案の定ボコボコにされて。





一応助言も貰ったのに、

一体俺はなにをやってるんだ。









「…………………すみません。」


「なんで謝るの？」









「………こんなの、俺が立ち入る話じゃない。」


「そう？確かにお前は誰よりAさんを傍で見てきたし。…悔しいけど、たぶん僕よりお前の方がAさんは大事にしてるよ。」









「……。」


「だからって譲る気はないけどね。昔も。今も。」








「……ほんとに、する気あるんですか？結婚。」


「当たり前でしょ。まあ、夫婦っていう形に拘るつもりはないけど。あの人が僕の妻になるなんて、考えただけで火照っちゃう。」









「………きもい。」


「だって五条(・・)Aだよ？こんなに尊いことはないさ。」

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