チューベローズの恋人【呪術廻戦】

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風船のようにパンパンの膨らんだものから、
獣のように素早い細いものまで。

多種多様な形や大きさに変化したソレは
私を囲むように威嚇してくる。








「あーあ。もうストックなくなった。でもこんだけあったら少しは時間稼げるでしょ。」

『これが噂の改造人間？』




「そ。元人間(・・・)だからね。丁重に扱ってよ。」

『……元に戻せるの？』





「知らねえよ。やったことないし、」

『……そう。』








一斉に襲い掛かってくる改造人間たち。
加減しながら相手をしているがこれでは埒が明かない。
現時点では硝子も治せないらしいし、
万が一戻っても普通の生活はきっと送れない。

生かすか。
それとも殺すか。
生きたまま解剖させるのもアリではある。
だが硝子は喜びそうだけど
もし自我でも残ってたら酷だ。







『………ごめん。』


「っ、」









上から圧し掛かる様に降ってくる数ｍはある改造人間に
今度は術式を使って地面に叩き潰す。

せめて苦しまないように、一瞬で。
何体殺しても、
次から次へと息をつく間もなく向かってくる。

その隙にツギハギの呪霊は行ってしまった。
早く済ませて追いかけたいが、
この終わりの見えない数と不揃いな形が相手だと
” 引 ”では確実に殺せない。



周囲には私が殺した改造人間が転がり、
地面には血や肉片が飛び散る。
返り血が、服にかかる。
最期の呻き声が、耳に残る。


呪霊以外を殺すのは久しぶりで、
心を揺らすほどではないが
どうしようもなく気分は悪い。









呪いから人間を守るために、命を懸ける。
でも自分を守る為なら、
目的の為なら、
呪いに壊された人間を殺す。

そして呪いが生まれるのは、どうしようもなく人間から。






『……呪われてるなぁ。この仕事。』









たぶん10分も経ってないだろうけど、
何十分も戦ってる気分。
残り僅かにまで数は減り、
最後の1人の頭に手を置いて最後に小さく謝った。





『………。』









頬に飛び散った血を拭い、
一面に崩れ落ちた骸を見渡す。



どうせなら、
もっと人を救える術式を持って生まれていれば。

こんな血みどろの凄惨な光景じゃなかっただろうに。








『………。』

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