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「正門ならびに南門周辺、異常ありません。」
「忌庫番も以上ないとのことです。」
『…うん。ありがとう。』
各地点に配置された呪術師や補助監督から
定期的な連絡が入り、返事だけして電話を切る。
もう数時間が経ち、
団体戦もそろそろ終盤に差し掛かった頃だろう。
高専の生徒は呪詛師の標的になりやすく、
それが一同に集まる交流会にはしばしば邪魔が入る。
どこにも異常がなく、特に不審な呪力も感じない。
だがどこかスッキリしない違和感が残る。
『伊地知君。東と北は?北はさっきも報告抜けてるけど。』
「…はい。何度か連絡してるんですけど繋がりません。電波障害ですかね?」
『んー。団体戦の会場の方だから、確かにそれもあり得るね。』
「見てきましょうか?」
『いや、……私が行く。何かあって君が怪我したら大変だからね。』
「えっ…」
『伊地知君以上に悟のワガママ聞ける補助監督居ないでしょ。』
「……ああ。なるほど――ッ」
重い腰を上げ術式で移動しようとしたところに、
突然団体戦の会場を囲むように帳が降りる。
非術師のいない高専内に帳なんて、
何の仕掛けもない訳がない。
向こうは冥さんや悟がいるから心配はないだろうが、
敵の狙いが学生だけならこんなに目立つ手は打たない。
伊地知君に忌庫番に応援を出すよう指示をして、
1つだけ異様に濃い呪いの気配がする方へ向かった。
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『……はあ。これ怒られるかな。』
「えー。早すぎない?もっと帳の方に気を取られててよ。」
待機していた術師が2名倒されている。
天元様の結界があるからと気が緩んでいた。
恐らく侵入したのはこの1体だけではないだろう。
「もしかして、香月A?よりによって特級かよ。最悪。」
『そんな顔しないで、何しに来たのか教えてよ。』
怠そうに首の骨を鳴らすツギハギの男。
目立つ風貌とこの呪力。
きっと七海と虎杖君が相手をした特級呪霊だ。
「ハッ……、ヤだね。」
手に持った袋をひっくり返し、ニィと微笑む呪霊。
異形な塊を雑に地面に散らばらせて、
呪力を籠めながら大きく膨れたそれに命令を出す。
「まともに戦ってたら祓われるから、アンタはこれの相手しててよ。」
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妃 - すごく素敵な作品でした!個人的にその後の恵を見たいです。続編も楽しく読みます。 (2020年11月27日 20時) (レス) id: edafa70660 (このIDを非表示/違反報告)
mimi(プロフ) - 初めまして。昨日の夜からこのシリーズ全て読ませて頂きました、振り回される五条凄く好きです、主人公も好きです…!こちらは完結でしょうか?もし続きあれば楽しみにしています! (2020年11月17日 11時) (レス) id: 4447061f23 (このIDを非表示/違反報告)
もっち(プロフ) - とっても面白く、素敵な小説で何回も読み返しています(><)!!アンケートの件ですが「チューベローズの初恋 続」後の9年間のお話を希望します...!!! (2020年10月18日 1時) (レス) id: ff2316c362 (このIDを非表示/違反報告)
SS(プロフ) - 9年後のお話希望です!新しい方のお話とも悩んだのですが、まだチューベローズの五条悟が読みたいです、、! (2020年10月17日 20時) (レス) id: 9f946892a2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆで卵(プロフ) - 度々コメント失礼します!チューベローズの初恋 短編集を読んでみたいです…!!!元許嫁のお話もとても面白そうで悩んでしまいましたが、チューベローズの初恋をもっと読みたいなと思いました。新しい作品も応援してます!! (2020年10月17日 0時) (レス) id: 18a070aa90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:縞 | 作成日時:2020年5月23日 12時