チューベローズの恋人【呪術廻戦】

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2人で並んでソファに座って
イマイチな映画を見続けた。

虎杖君はコーラを右手に、
ぬいぐるみに凭れて映画に集中している。
何度か呪骸は目を覚ましたが
手を貸さなくても何とか持ち直して、
もう30分以上は危なげもなく順調だ。





「A先生、次何観る？」

『何があるの？』





「よく分かんないけど、これはムカつくヒロインが最後に盛大に死ぬらしいよ？」

『なんでオチで紹介すんのよ。』






たくさんあるDVDを漁って、
適当にプレイヤーにセットしてソファに帰って来た虎杖君。
どこから見ても、呪いなんて縁もなさそうな普通の高校生。



『…。』


失礼かもしれないけど、
横からじっと顔を見つめる。

1000年生まれなかった逸材だと聞いていた。
本当にあの呪いの王を完璧に抑え込んでいる。





「…ちょっ、あんま見ないで。緊張しちゃうから！」

『あ。…ごめん。』




少し赤くなった顔を呪骸で隠して照れている。
動揺してしまったのか、
今にも起きそうに額に皺を寄せている呪骸に焦って
先生の所為だよ、と不満そうに呪力を籠め直す姿が可愛らしい。









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【…随分と香しい女だな。】


『！』








【お前のような呪術師は初めて見る。さぞ呪いに好かれるだろう…。】


「！…ごめん、先生。…あっ」




虎杖君の頬に突然現れた目と口。
思いっきり叩いて引っ込んだと思ったら、
今度は手のひらに移動した。

体を乗っ取られている感じはしない。
この子の中にいる宿儺が悪ふざけをするように
ただ顔を出してきたのだろう。








【惜しいな。俺が生きている内に生まれていたら、さぞ可愛がってやったろうに。】






『良かったよ。死蝋になってくれてて。』


「えっ、ちょっ…、全然引っ込まねえコイツ！」







出てきては、叩いて。
また出てきては、叩いて。

何度も繰り返して、
人間もぐら叩きみたいで面白い。



分けてもらったコーラを飲みながら
呑気に笑って見ていると、
落ち着いたのか肩で息をしながら一息つく虎杖君。

しかしその一瞬を付いて
右手に現われた宿儺は勢いよく私に向かって来て、
肩を掴まれる。

体は虎杖君なので無暗に引き離せないし、
暴れだしそうな呪骸もいて、色々事態が渋滞している。

とりあえず呪骸を手に持ち眠らせて、
やってしまった、と半泣きの虎杖君を落ち着かせた。






『手、離せそう？』

「やってんだけど、めっちゃ力強くて無理！」

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