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割り入るんじゃなくて、話し終わるまで待ってれば良くない?
そう考えてちょっと待ってみた
5分後、一向に話し終わる気配はない
そしてモデルさんのスキンシップが激しい
凄く有岡さんにベタベタ触っている
それに対して有岡さんは少し嬉しそう
周りから見たら完全にカップルな2人
そんな2人の姿を見て胸のざわざわ、いらいらがとまらない
有岡さんって、本当に私が好きなの?
もう好きじゃなくなったの?私がつれないから?
「だ、大ちゃん!」
気づけば2人に向かって言ってしまっていた
我に帰ると自分のバカさに呆れる
何でいきなり大ちゃん?
急に大ちゃんって言ったらびっくりするの分かってたでしょ
だいたい、呼んだことないのに、恥ずかしい
2人をみると、驚いている人と、怪訝そうな顔で見る人
どちらの反応も、至極まっとうなものだった
いつの間にか、ざわざわもいらいらもなくなっていた
というかそれどころじゃない
「...あー、えっとー、自販機を、使わせていただきたくですね…」
大学を卒業した人とは思えないバカのような話し方
その場しのぎなのがバレバレだった
「じゃあ、有岡さん、さようなら」
1人、頭の中で自己嫌悪に陥っていると、あっちはあっちで話が終わったらしい
会釈をした女性は楽屋に帰るのか、私とすれ違うように歩いていった
有岡さんと、2人きり
「あの、有岡さん、すみませんでした」
「いや、全然。Aなんか買うんでしょ?何飲むの?」
「ジュースを3本、メンバーのパシリです」
「俺も山田といのちゃんのおつかいなんだよね、ジャンケンで負けで」
「お疲れ様です」
さっきの大ちゃん呼びをなかったことにして、自然さを心がけて話す
一応女優でもあるんだから、こんなの余裕っしょ
って思ってたら、有岡さんのほうが一枚上手だった
「Aー」
「はい?」
「もっかい、大ちゃんって呼んで?」
隣で一緒に自販機を見ていた有岡さんは、無邪気な笑顔でそう言った
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作者名:Splay | 作成日時:2017年3月26日 15時