君の為に君の様に【シオン】(リクエスト) ページ31
「A!」
「如何した? シオン」
呼ばれて気付いたその子は振り返る。こちらを向いたその子を見ていてわかるのは、やっぱりいつも通り欠点が何一つ無い完璧な男の子という事だ。
綺麗だし、頭も良いし、強くて任務も毎日ノルマ以上をこなせる……そんな、あたしには釣り合わなそうな憧れの人。
最近あたしは、そんなAに追いつけるように結構頑張ってるんだ
「これあげる! お菓子作ったの!」
「……? ありがとう」
渡したのは、最初は食べられたものじゃ無かったけど、Aの為と思って何度も試行錯誤を繰り返してやっと出来たお菓子。
食べて欲しいな、と密かに期待していると、あたしの視線に気付いたのか、その子は少し微笑むとそのお菓子を食べてくれた。
「……シオンは料理上手だな」
「! あ、ありがとう」
遠回しでも、ちょっと頰を赤らめながらそう言ったAの様子から、あたしを褒めてくれているって事は何と無く分かった。
よし、これで料理は大丈夫!
次にやった事は、強くなる為の鍛錬。
鍛錬といっても、魔法やキーブレードをしっかり意識しながら使って任務を遂行してるだけ。
目標を持ってやってみると案外、色々なものが見えてきて。あの子の為ならあたしがまだ強くなれるって実感が持てた。
毎日毎日とにかくそれを繰り返し、そしてAと共同任務となったある日の事
「シオン!」
「任せてっ!」
キーブレード使いのあたし達は今回、大型ハートレスの討伐を任務として与えられた。
ハートレスに攻撃を振るうAは相変わらず強い。
あたしも負けじと戦っていると、いつの間にか大型ハートレスはハートとなって、空に昇っていた。
「A! 怪我は無い?」
「ああ、オレは平気だ。
シオン、最近は何か調子でも良いのか?
大分腕を上げた様に見えるが」
互いに怪我の確認をした後、ふう、と一息つき汗を拭っていればAにそんな事を訊かれた。
「うん、あたし、Aみたいに強くなりたいの!」
「オレみたいにか?」
あたしは大きく頷く。
そう、君の様に成れれば、君があたしを頼ってくれるかもしれない。Aの様に完璧であれば、逆にAが何もしなくても良い程にあたしはAへ尽くせるかもしれない。
全ては君の為だよ、A。
料理だって 戦いだって 知識だって……いつか完璧な君を超えて。
あたしが君のお世話をしてあげるから。あたしにしか頼れない様にしてあげるから。
待っててね、A
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レフト(プロフ) - ご満足頂けたようで何よりです。ソラさんもわざわざこのような小説にリクエストして下さり、誠に有難うございました。 (2019年5月27日 22時) (レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても面白かったです!ありがとうございました (2019年5月27日 5時) (レス) id: 788aead105 (このIDを非表示/違反報告)
レフト(プロフ) - ムスメ3さん» 今までのご閲覧、誠に有難うございます。ムスメ3さんから頂いた沢山のリクエストは非常に捗りました。 (2019年5月27日 1時) (レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - すごい面白かったです!完走おめでとうございます! (2019年5月26日 19時) (レス) id: a84e4bce58 (このIDを非表示/違反報告)
レフト(プロフ) - いちごみるくさん» 四ヶ月という時間を掛けて漸く完結致しましたが、初期の方から見て下さったいちごみるくさんには感謝しきれません。今までご閲覧頂き、本当に有難うございました。 (2019年5月26日 13時) (レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フェトルクス | 作成日時:2019年1月25日 0時