貴方がいない【アクア】(リクエスト) ページ33
「はぁっ!」
「やあっ!」
短い言葉を発し、互いのキーブレードがガキンッと、重苦しい音を鳴らしながらも交差する。
力の差はあまり無いようで、両者共にその目を見据えながらも剣先を震わせた。
現在、Aとの手合わせ中。
二つのキーブレードを挟んで見えるその子は真剣な表情をしていて。いつもと違うその表情に、胸の鼓動も段々と大きく、速くなっていった。
「ふあ〜疲れた……アクアは強いなぁ」
「ふふ、Aはもっと力をつけなくちゃね」
「うーん、オレも頑張ってるんだけど……」
その後、手合わせも終わり、二人で休憩序でに座って話していた。
先程と一転して、温厚そうな笑顔を浮かべながらキーブレードをくるくると遊ぶA。
かっこいい、と例えるよりかは……今にも消えてしまいそうな儚さの美を持ち合わせているその子は、ずっと一緒にいるのにも関わらず謎が多い。
……まるでタンポポの綿毛のように。
ふわっと飛んでは何処かに消えて行ってしまいそうで、その笑顔はあまり落ち着けなかった。
「どーしたの? アクア」
いつの間にか上の空になっていた私は、Aが顔を覗き込んできた事によって意識が戻る。
私は胸の中に溜まった不安を解消させる為に、その子にポツリと伝える。
「……Aはいなくならないでね」
「……うん、キミを残してオレはいなくならないよ」
再び微笑んでそう言ったその子に、私は安心したのか何だか眠くなってきた。
そう、Aは消えない。
今こうしてここに一緒にいるんだから。
今こうして幸せな時を感じる事が出来ているんだから。
あなたがいなければ私もいないの。
だから、今は大丈夫。
「眠いの? ……そっか。
一緒にいてあげるから、寝て良いよ。
……おやすみ、アクア」
その子の優しい声色と、抱きしめて感じる温もりに眠りへと誘われ、遂に私の意識は途切れた。
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レフト(プロフ) - ご満足頂けたようで何よりです。ソラさんもわざわざこのような小説にリクエストして下さり、誠に有難うございました。 (2019年5月27日 22時) (レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても面白かったです!ありがとうございました (2019年5月27日 5時) (レス) id: 788aead105 (このIDを非表示/違反報告)
レフト(プロフ) - ムスメ3さん» 今までのご閲覧、誠に有難うございます。ムスメ3さんから頂いた沢山のリクエストは非常に捗りました。 (2019年5月27日 1時) (レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - すごい面白かったです!完走おめでとうございます! (2019年5月26日 19時) (レス) id: a84e4bce58 (このIDを非表示/違反報告)
レフト(プロフ) - いちごみるくさん» 四ヶ月という時間を掛けて漸く完結致しましたが、初期の方から見て下さったいちごみるくさんには感謝しきれません。今までご閲覧頂き、本当に有難うございました。 (2019年5月26日 13時) (レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フェトルクス | 作成日時:2019年1月25日 0時