東卍だろうが何だろうが鉄骨娘はひるまない

遭遇 ページ44

「祓う対象としか見てなかったからそんなに記憶に残ってないのよね・・・ぼんやりとなら思い出せるんだけど・・・」


どれだけうなっても、どれだけ記憶を絞り出そうとしても

呪霊のはっきりとした姿は浮かんでこなかった

まぁはっきり言って仕方のないことなのかもしれないい


呪術師に、「祓った、もしくは祓う呪霊の風貌全部覚えておいて」と言おうものなら勿論無理だと半数以上が言うだろう


どれも特徴的な見た目をしているとはいえ、全部が全部特徴的なので一々目に焼き付けたくもないし覚えようともしない

だが、「自分を飛ばした呪霊の風貌忘れたから元の世界に戻れない」などとなったらシャレにならない

なんとかそれだけは防がねばと頭をひねるがやっぱり出てきてはくれない


ああでもないこうでもないとうなり続けていると、不意に突然、その姿をはっきりと思い出した



はっきりと





鮮明に






一瞬意識を持っていかれそうになったが、すぐに立て直し、体に染みついた動きで術式を放った

釘のあたりは普段通り悪くなかったが、あまりに突然で狙いが定まらず、釘は無念にも奴(・)にあたらず木の幹に刺さった


一つ舌打ちをすると、呪術師である自分に気が付いて逃走を試みる影を追う



せっかくの祭りで浴衣が着れず残念に思っていた数十分前とは打って変わって、逆に今の服装が浴衣でなくてよかったと心底思う。


なぜなら、動きにくい浴衣は奴(・)をしとめるのに向かないからだ




「こっちが探しても全くしっぽ見せなかったくせに・・・不意打ちでくるとはいい度胸だな」


今日を逃せば今追っている(ruby:別世界に送る術式を持つ呪霊:・・・・・・・・・・・・・。


つまり、釘崎をこの世界に飛ばした呪霊をいつ祓えるかわからない



まさかとは思ったが、不意に視界に移りこんだのは、今釘崎が探し求めていた呪霊なのだ





今度は忘れないように、奴の姿をじっくり目に焼け付ける





逃がしはしない





今に祓ってやるから






覚悟しとけよ？

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