東卍だろうが何だろうが鉄骨娘はひるまない

集会３ ページ16

いったいなぜこんなところに一級呪霊がいるのか
それはここに負の感情が集まりやすいからだ
東卍は恐らく規模が大きい注目されている組織なのだろう
その分この組織に何らかの負の感情を覚える人間はけして少なくないはず
それでも三級四級が多いところを見ると、ある程度小さな負の感情が集まる程度だったのだろう
今回一級呪霊が生まれてしまった理由は起こそうとしている抗争の火種にあった

「どーする？パー。やる？」
先程盗み聞いた内容は、パーと呼ばれる男の友人に降りかかった悲劇について

目の前で彼女をやられ、有り金を巻き上げられ、親兄弟まで巻き込まれる始末
腐っているとしか言いようがないほどの悲惨な悲劇

あの男は友人思いなのだろう
友人を思う心が強いほど愛美愛主(メビウス)を恨む負の感情は強く強力になり、その負の感情によって生まれる呪霊の力も強くなる

愛とは呪い
厄介で強力の呪いなのだ

「相手は二個上だし・・・東卍もただではすまないし・・・皆に迷惑かけちゃうから・・・
でも、悔しいよマイキー・・・！」

「んなこと聞いてねぇよ。やんの？やんねぇの？」

シンプルであってシンプルでない二沢。

そのどちらかを選択するだけでも、状況によってはそのどちらかを言うだけでもとても勇気がいることだ

それがこの大きな組織を動かす程のものならなおさら・・・・

「やりてぇよ！ぶっ殺してやりてぇよ！！」


それでも、やりたいという意思が強いのならば、イエスと言いにくくても、それを許されるのならとパーは叫んだ
声色で分かる
ダチを傷つけた奴は許さない。許したくない、と


「だよな。」

「・・・え？」
あっさりと頷き笑った己のトップに困惑を見せる

「こんなかに、パーのダチやられてんのに迷惑だって思ってる奴いる？


パーのダチやられてんのにひよってるやついる？」


総長の問いに苦い顔をするものはこの東卍にはいなかった
どこをみても、誰をみても、皆好戦的な顔をして笑っている

それがパーにとってどれだけ心強いことか・・・・・・
滲み出る涙を隠すように頭を下げたままのパーを皆がよくやったと、よく言ったと心の中でほめたたえる


「いねぇよな！？




愛美愛主(メビウス)潰すぞ！！」



【おおおおおおおおおおお！！！】



東卍に抗争以外の選択肢はないにも等しかった

決戦の火ぶたがきられる瞬間を、釘崎は同じく好戦的な顔で笑ってみていた
こういうシンプルで思い切りがいい連中は嫌いじゃない

遭遇→←集会３

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す