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番外編【初恋】 ページ10

イザナside

「ふぅ………」

溜まりにたまった仕事を放り投げてしまいたい。
執務室だけではなく、俺の寝室にまではみ出してくる書類の山に嫌気がさす。

体を反らせて軽く目を瞑っていると、額を撫でる暖かいものを感じる。

薄く目を開ければ、柔らかく微笑むリリィがいる。

『すまないな、起こしたか?』

いや平気だ、そう口にしようとして止めた。

ステンドグラスから漏れ入る光がリリィの頬を色鮮やかに照らしている。

午後の暖かい日の光は、部屋ごと二人を包んでいる。

ゆっくり眠ってしまっても、今日一日位ならば許されるだろう。


____________*--------*__________

そうだ、彼女と初めてあったのも今日のように澄みきった晴れの日だった。

軍の訓練の見学帰りに庭を少し探索していたときだ、彼女を見つけた。

木の根本で浅い眠りについて入る彼女を、とても美しいと思った。

柄でもない、一目惚れだった。

色白で華奢な身体は不安になるほど細く、ドレスの裾から伸びる足はあまりに形よく作り物に見えた。

顔はそれこそ人形の様だった。くっきりとしていて、スと通った鼻筋も見事だ。薄い彼女の唇は、いつか外交で送られた桜と言う木の花弁にも似る。

いつから眠ったのかは知らないが、水分も取っていないだろうに潤っているそれは良い意味で飾り気が無く、只々麗しく思えた。

眠る彼女の頬の高い部分は薔薇色に染まっていて、彼女が作り物では無いことを実感されてくれる。

ふせた瞼からのびる長い睫毛は影を作っている。

その瞼が開いて俺を見てくれたなら。

どんなにか幸せだろう。

ふと、そんな考えが頭に過った。

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設定タグ:赤髪の白雪姫 , オチ未定 , 秋霖時雨   
作品ジャンル:恋愛
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図書館長 - 黒狐さん» スランプ気味ですが、漫画片手に頑張ります! スランプ直ったら書き方変わってるかもです… (2017年8月18日 14時) (レス) id: 95fa91edf4 (このIDを非表示/違反報告)
黒狐(プロフ) - 初コメ失礼します。毎回とっても楽しみにして見ています!これからも無理せず頑張ってください!!!失礼いたしました。 (2017年8月16日 23時) (レス) id: f1f9f2f1cd (このIDを非表示/違反報告)
雨宮 純(プロフ) - ちょっと見てきます! (2017年6月4日 22時) (レス) id: b86927d308 (このIDを非表示/違反報告)
図書館長 - 原石が放つ光、というのが初めて書いた歌い手のお話です。めちゃくちゃ短いです。けど色々考えた結果続編を書きました。 (2017年6月4日 22時) (レス) id: e9767118c3 (このIDを非表示/違反報告)
雨宮 純(プロフ) - うわわ!ありがとうございます!図書館長さんの歌い手小説の題名って、何ですか? (2017年6月4日 22時) (レス) id: b86927d308 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:秋霖 時雨 | 作成日時:2017年3月29日 12時

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