love me not. (ページ8)

今日:1 hit、昨日:6 hit、合計:69,235 hit

white 8 ページ8

『Aちゃん、冷えてる。』

泣きそうな顔、しないでよ。
こんなに冷たい身体して。

どんな事故だったか、今は聞いても教えらんないよね。

『でもいつか、話して。』

返事は…ないか。

Aちゃん、大人しいな。

突き飛ばされたりしそうなもんだけど。

なんでもいいか。

気持ちいいから。

Aちゃんの匂いが、俺を落ち着かせる。

ずっとこのままでいたいのに
Aちゃんに見つめられたい欲望もわくから

そっと離したAちゃんは
真っ直ぐ俺を見た。

“クォンさんも、綺麗な目ですね。”

俺の目の、どこが？

“私、今日久しぶりのお休みなので失礼します。”

立ち上がってそう言って出ていった。

何事もなかったように。

Aちゃんに触れた指先を見つめる。

Aちゃんの肌は冷たくて、
指の先がビリビリと痺れるような気がした。

手術の跡は、もっとハッキリと、
固くて意思を失ったような、
もう元には戻れない、Aちゃんの絶望を感じた。

大丈夫。
俺はずっとそばにいられる。

Aちゃんが、消えなければ。

だから、今日の事、なかったことにしないでよ。