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『わ〜ぉ…Aちゃん…これは…』
わ〜ぉ…
灰色だったかな？あたしの車。
『ガソリン蒸発してんじゃん？』
“しないでしょ！”
ほら、中は大丈夫よ。勿論。
ちょっと埃が…積もってただけ。
『お〜！
いい車なのに可哀想だね。この子。』
“うるさいな。もう行くよ！”
‘デート’なんてすごい久しぶり。
何とかなる、と思ってたけど、やっぱり緊張してきた…。
でもとりあえず、行くしかない！
かけたエンジン。
流れてくる大音量の音楽。
に、愕然。
『これ…マイケル・ジャクソン？！
A、好きなの？』
“…好き…。”
『後は？好きな歌とかある？』
“…プレスリーも好き…。”
ジヨンの肩が揺れてる。
顔隠してるみたいだけど、
運転しててもめっちゃ笑ってるの、バレバレ。
『いや、大先輩だし！
俺も好きだよ。頑張るわ。俺らも。』
“涙目で言われても説得力ないけどね！”
なによ。
すごいかっこいいのに。
けど、マイケルのおかげで、緊張が解けちゃった。
さすが、あたしのマイケル。
ありがとう。
さっき誘われたときはどうしようかと思ったけど…。
『ねぇ、Aちゃんさ、オフとかないの？』
“おふ？”
『あるでしょ？』
“まぁ、あるようなないような。
あるけど、なしになるような。”
『わかったよ！で、直近でいつ？』
”今…？かもしれない。”
『今？！ いつまで？！！』
“長ければ明日の今くらい？”
『充分だよ！よし！行こう！』
“どこに？！”
『デェトに決まってんじゃん。
どこ行きたい？
Aは何が好き？』
そんな無邪気に喜ばれると嫌とは言いにくい…
でも本当は、まだ怖い。
誰かに踏み込まれるのも
あたしが誰かに
ジヨンに、これ以上、踏み込むのも。
ジヨンが隣にいることも
ジヨンがいなくなることも
どっちも怖い。
何もかも怖い。
無意識に下を向いてた頭に温かい物が乗せられた。
『ただの、街中に溢れかえってるデェトだよ。』
手は頭に置いたまま、
指であたしの髪を触りながらジヨンが微笑む。
ちょっと落ち着くかも…。
“じゃあ、海に行かない？
定番だけど。
あたしの車で。”
『大歓迎。』
ジヨンに微笑まれると
大丈夫かもって思えてしまう。
隣でマイケルと一緒に歌うご機嫌そうな横顔を盗み見る。
今日はどんな１日になるんだろう。
“ねぇ、まずは洗車に行ってもいい？”
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作者名：feliz | 作成日時：2018年8月31日 22時
