本当の名前は【第５人格】 (ページ7)

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第６幕ページ7

どうして答えてくれないの？

どうして助けてくれなかったの？

どうして、

私達を見捨てたの?(巻き込むの?)

ねぇ、、、、、、、
・
ﾊﾟﾁﾘ

『夢、、、、』

見慣れない天井が目に入る。どこだっけ……と考えるのも束の間、窓の外に広がる景色を見て脳が覚醒する。

『確か昨日から荘園に、、、、、今は何時です………？』

サイドテーブルに置いた時計を見ると、時刻は６:３０を指し示していた。丁度ピッタリ
窓の外に広がるのは一面の霧、霧、霧。これから代わり映えのしない風景を見つめて暮らすのはどうにも気が引ける。

一度起きてしまうと二度寝と言うものが出来ない人間なので、大人しくベッドから起き上がった。

近くにあるクローゼットを開け、服一式を引っ張り出した。３着しかない洋服は全て同じデザインである。物欲が無いと言うよりかは、洋服に興味が無い。

何処かで知り合った人間に「稼ぎが良さそうな割に貧乏臭い」と言われたのはそのせいだろう。豪遊するタチではないので、どう言われても構わないが。

昨日は何も言わず(自己紹介はした)、何も聞かずに帰って来てしまった。今思えば初対面の人間に対して失礼ではなかったかと不安になる。

鏡の前で違和感が無いかを確認してから部屋を出た

荘園には季節感と言うものが無いのか、特段暑くも寒くもならなかった。廊下に自分以外の気配を感じないので、昨日居た大勢の人達は寝ているのだろう。

『ありがたい限りですね』

迷路のように入り組んだ廊下を、気分のままに歩いていく。部屋はそれぞれ扉の前にプレートが掛けられているので、私室以外のプレートが掛かっている所を片っ端から開けて回った。

食堂、観戦部屋、待機部屋、図書室、大浴場、、、、、、(聞き覚えのないものがいくつかあった)

途絶えることのない道は、脚本家の創作意欲を掻き立てた。最早どこを通って来たのかすらも忘れ、ひたすらに未知の領域を探検していた。

グルグルと屋敷の中を歩くこと(体感)数十分。見覚えのないガラス張りの扉を見つけた。

『garden…へぇ、庭園があるんですね。さすがは英国貴族』

好奇心と期待を抱いて、静かに扉を開けた

『………綺麗……』

偽りなど１つもない、純粋な一言だった。