本当の名前は【第５人格】 (ページ26)

今日:14 hit、昨日:0 hit、合計:4,427 hit

第２３幕ページ26

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
脚本家

限定衣装【貿易商】

高価なモノ、綺麗なモノ。彼女の眼には何は何が写っているのだろうか？
外見に惑わされてはいけない。何もかも、奪われてしまうから
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

見覚えのある煙管(ｷｾﾙ)、人を刺し殺せそうな指甲套(しこうとう)

華美に磨きをかけたような服は見覚えが無いけれど、間違いなく私のものだった

『……着ろと…？』

今更過去の職に戻るつもりも無いんだけれど

何処かにいるこの衣装の製作者に、圧力を掛けられている気がしてならない

『…まぁ、貰い物を無下にするのもね……』

黒い絹地の深衣を箱から引っ張り出して、鏡の前に立った
・

　no.side

「ねぇ……、、、」

「何となく言いたいことは分かるわ。私も気になっているもの」

食堂の隅でヒソヒソと話す調香師と踊り子。二人の視線の先には、和やかに会話をする男女の姿

『……コレにお湯を掛けると…』

「へェ、、、すごいですネ。お茶には見えない」

『ワタシの祖国では工芸茶と呼ばれる物です。鑑賞品としても人気ですからネェ』

ガラス製の蓋碗(がいわん)を覗き込む。中には鮮やかな康乃馨(ｶｰﾈｰｼｮﾝ)が、クラゲのようにフワフワと漂っている

「身内に籠もる日本とは違い、アナタの国は懐が広い」

『……キミみたいな騙子(ペテン師)には良い獲物でしょうネ』

「ヒドい言い様ですねェ」

『まァ、上客以外に媚を売るのも疲れます。ご贔屓様にちなんで安くしておきますヨ』

「……どう言う会話なの……？と言うかあの女の人誰なのよ」

「見覚えの無い衣装(人)よね。新しく貰う人なんていたかしら…？」

▼▼▼

指甲套(しこうとう)

清朝の王妃達が指先に付けていた装飾品。

工芸茶(こうげいちゃ)

食用の花に加工を施し、２ｃｍの球状にする。
茶壺(ちゃこ…急須の事)に入れ、熱湯と掛けると、花が咲いているように見える事から、芸術茶とも

蓋碗(がいわん)

蓋の付いた湯呑み。通常の湯呑みよりも大きい。

※少し更新に間が空いたことをお詫びします