本当の名前は【第５人格】 (ページ20)

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第１７幕ページ20

「久しいね、最後に会ったのは女王陛下の生誕祭の時だったかな？」

君の長い髪も綺麗だったのに…と細い指先で髪を梳いた。首筋に触れる彼の指は冷たいなんて次元ではなく、温度と言うものがなかった。

陶器のような肌と比喩する事があるが、まさしく陶器の肌(・・・・)だった
チラリと後ろを見ると、ヒビが入ったように割れた肌が目に入る。構成する色素が白黒で、写真の中から抜け出してきたのでは…？と疑うほどに色味が無い

『Bonne journée.伯爵様』

「Bonjour, mademoiselle.会えて嬉しいよ。セレス」

『……その名前は、、、、、、、』

途端に表情が凍りつく。恐怖の対象がすぐ隣に居るような素振りでしきりに隣を見ては、ビクリと肩を震わせる
解読もままならず、冷たい床に座り込んだ。

『違う……、、、彼は私を、殺そうとしたの？彼等(・・)は私を恨んでいるもの！！

私があの場所に居たから？

あの人の目に写ってしまったのが悪いのよ！！

ｯ私が…あの家(・・・)の人間だから彼はーーーーーーー！！……‥』

普段の冷静さが嘘であるかのように取り乱し、頭を抱えて早口でまくし立てた。血色の良い唇は真っ青で、伏せられている緑色の目は焦点が合わず虚ろげだ。

取り乱しようを目の当たりにした伯爵様ーーもとい写真家は宥めるように、申し訳無さそうに座り込む脚本家を抱き抱えて、近くの椅子に座らせた

「悪いことをしたね…だがここに彼は居ない。革命後に処刑されたと報せが来ただろう？」

『……………………ｯあ、、ごめんなさい…』

「謝らないでくれ、、あれは彼の思い込みだ。君はあんな人間に囚われて良い存在ではない」

ハンカチを取り出して、零れ落ちる涙を拭う。
俯いている脚本家に、恍惚とした表情を浮かべる写真家は見えない

『…ごめんなさい。試合を長引かせてしまって』

「君の写真を撮らせて貰おうと思ったけれど…試合の後の時間は構わないかい？」

写真？と問いかける脚本家に近くの写真機を指差した

「君なら綺麗に映るだろう」

『…と、くに予定は……』

嗚咽が残る声で返事を返した

「それは良かった。では昼食後に庭園で」

ーハンターが投降しましたー

　通常試合赤の教会

　サバイバー３名脱落１名脱出

　
　ハンター勝利