本当の名前は【第５人格】 (ページ19)

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第１６幕ページ19

脚本家side

予感がした。嫌な予感が

１人、また１人と声が消える
チェアで飛ばされた訳でも無いのに、気付いたら居なくなっている。

今回の相手は、そう言った能力を持っているのか。いつもと違ったのは、マップのあちこちに妙な機械が設置されていた。時折大きな音がマップ中に響いて、暫くすると同じようにまた響く。

隣で解読していたエミリーさんが急に血を吐いて倒れた時は驚いた。背中に大きな切り傷が突然焼き付くように浮かび上がって来て、そこから血がジワリと滲んで広がっていく。

その血の量がまた多く、失血して死んでしまうのでは？と疑問に思った

気付いたら私以外は消え、周りは静かになった。

『せめて１台くらい解読しきってから消えて下さいよ……ちっとも終わらない』

不思議とハンターとは鉢合わせる事が無く、何事もなく２台目の解読が終わった。
後１台終われば、何処かにハッチが出現するらしい。

１台だけ他よりも進んでいる暗号機があるので、ある場所に向かって走っていた。その途中、何度目か分からない妙な音が、またマップに響いた。

『………教会、、、知ってて呼んだなら何て悪趣味な人』

ピピピピ…と硬質な音が木霊する空間。白い石造りの教会は、例え黒いものですら白だと主張する。

『私に教会なんて似合わないのに………』

湧き上がった思いを心の奥に押しやって、早く終われば良いと言う思いで暗号機を解読する。教会が私に与えるものなんて、過去の嫌な思い出を蒸し返す事くらいだ。

ーーー君が首を縦に振ってくれれば良い。君にとっても悪い話じゃないだろう？

ーーお前は人の下について犬のように動く屑ではない。愚かな平民を哀れんでやればいい

ーーーー不思議な気持ちだよ。貴女に近付く人間全てがひどく憎たらしい。

『あぁ…私は、、、、なんて……』

薄っすらと涙さえ滲んで来た時、あの音が響いた。

「君は美しい。醜い人間の言葉なんて、聞き入れる価値も無い」

耳元で囁かれた、全てを肯定してくれそうな優しい声。
鼻をツンと刺すような血の匂いは、教会と言う場所に恐ろしく不釣り合いでありながら、私に考えられる余裕は無かった

どうして居るの？

何で貴方が

『どう…して、、貴方が』

「…どうしてと言われても、やって来たのは君の方さ」

脚本家side fin