第１５幕 ページ18
「短いようで、長かったどすなぁ。このルールだけはほんまに理解できひんわ」
衣装箪笥を物色しながら、１人呟く芸者。上機嫌に鼻歌を歌いながら姿見の前で着物を着替える姿は美しいが、どうにも不気味なオーラを纏っている。
薄く浮かべる微笑みには、暖かさも和やかさの欠片も無かった
「そやけど残念どす。
考えてると苛ついてきたわ
やり場のない苛立ちは殺意へと変わる
「惨たらしゅう虐めてあげましょ。着物に血ぃ付くのんは癪やけど」
[新しく来たサバイバーを、最初の１か月は傷付けてはならない。破った場合は厳罰に処す]
・
「彼女が何処に居るか教えてくれないか？」
和やかな口調からは想像のつかない光景だ。微笑む彼の服は血塗れで、足の下には蹲るサバイバーがいる。
サバイバーの左腕を刺し貫くサーベル。辺りは血の海だ
「聞こえているかい？退屈で眠ってしまったのなら、良い目覚ましをかけてあげよう」
彼を前に眠るなんてありえない。
「違ｯ……！！私は会っていないから知らないだけで……、、、本当だから…！」
体が本能的に動いたのだろう。痛みでままならない体を無理やり動かし、恐怖で震える口から言葉を紡いだ。
「知らないなら仕方が無い。君はもう用済みだよ」
直後、首筋に赤い朱線がはしる。血飛沫を辺りに飛ばしながら、息絶えた体は力無く崩れ落ちた。
見開かれた眼球をを器用にくり抜いてサーベルの血を拭う。
「君たちに褒めてあげられるのはこれの美しさくらいだ」
視神経の部分をブラブラと持ちながらその場を離れる。が、数十秒もしないうちに路端に放り投げた。
自身を見つめるのが気に食わないのか、転がる眼球をサーベルで一突き。真っ二つに切断された
「醜い人間のものだと、その美しさも損なわれてしまう。やはり完璧な被写体のものでなければ…」
ブツブツと呟く姿は美しくも異常で、白衣を纏っていれば何処かの
そんな彼が求める完璧な被写体は、求める前に自らやって来た。
あれほど願った彼女は、今や同じ空間を再び共有している
「後は君を見つけるだけだよ。セレス」
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作者名：夜玄 | 作成日時：2021年6月19日 21時
