第１３幕 ページ16
脚本家がやってきて来てから、およそ３週間が経過した。
荘園の時間や四季の流れは曖昧で、雪が降っていても桜が咲いている事もあるような異空間だ
３週間と言う時間も事実かは分からない
脚本家は生まれつき持つ絶対的な記憶力で
彼女が持っている手帳にはあらゆる情報が書き込まれている
「リジーさんすごいなの！！」
「天賦の才……そう言えれば何と響きが良いことでしょうか……」
「次の試合誘っちゃお〜。来てくれるかなぁ？」
能力もさることながら、彼女の判断で勝利した試合も少なくはない(そんなに試合には出れないが)
それでも尚、脚本家ほど早く荘園に馴染んだ人間は少ない。荘園の半数以上は彼女を慕っている
……まぁ、それが脚本家にとって喜ばしいかは別の話になるだろう
・
『ナワーブさん、鬼没が使えるので救助後の肘当ては早めにお願いします』
[解読中止！助けに行く！！]
救助に向かう傭兵にそう告げて、返事を待つことなく通信を切る
(チャットを打つ際に使う通信機は、相手を限定することで通常通りの会話が出来ます)
暫くすると通信機に通知が来る
「助かった」
内容は簡潔だったが、それだけでも礼を言うあたりに関係の良さが出ている。
『そうですか、、ヘレナさんに巻き込まれないよう気を付けてくださいね』
人形であれば疲れも痛みも感じないだろうが、生身の人間に疲れと痛みは付き物だ。
斬られれば血は出るし、放っておけば貧血になる。長時間のチェイスもまた、疲れれば倒れる
心眼のダウンを告げる鐘の音を煩わしそうに睨めつける
『舞台に相応しくはないですね、彼女』
風船状態にされた心眼が下ろされる。
脚本家が解読していた暗号機は少しでも触れれば上がる状態だ
[解読に集中して！！]
通電を知らせるけたたましい音がマップ中に響く
生存人数は４人
ーハンターが投降しましたー
通常試合 永眠町
サバイバー 完全勝利
『勘違いだったのかも』
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作者名：夜玄 | 作成日時：2021年6月19日 21時
