二十四話 『良くねえ』 ページ24
『・・・・・・ん・・・・・・』
酷く、暖かい。
布団とは違う、暖かい何か。柔らかいような、けれど私より固い何か。脚にも《それ》が絡みついており、全身が包まれている感覚だ。
耳にほんの少しの風を感じる。いや、その風にはどこか声のようなものが混じっている。それも何だか心地が好い。ずっとこのままなら良いのに、と思ってしまう程に。
穏やかな何かが私を誘い、私はそれに身を任せ、暖かい闇に意識を落とした。
・ ・ ・
何か暖かいものを、俺は抱いている。
暖かい何かを包んでいる俺の両腕は、その暖かな温度が伝わってきて同じように熱を持っている。背中にも暖かいものが伝っており。それは脚も同様だった。暖かいものが脚に絡みつき。しかしそれは全く不快なものではなく、むしろ心地好ささえ感じられる。
ずっと。永遠に。この瞬間が続けばいいのに。
しかし。それとは裏腹に、俺の瞼は開くばかり。
瞼を持ち上げ、開かれた俺の視界にまず認識されたのは、輝かんばかりの美しい銀色だった。
__え?
銀色に驚き、よく目を凝らしてみるとそれはどうやら髪の色で、それが集まるそこはつい先日。義理の妹__中身、というか精神はおそらく年上の__になったばかりの少女の頭頂部だった。
なんだ。Aの頭か。良かった良かっ・・・・・・。
良くねえ!!!
思わず飛び起きなかった俺を誰か褒めて欲しい。切実に。
何とか息を呑むまでに留まれたが、この状況、神は俺にどうしろと言うのだ。
心臓の鼓動が、まるでサッカーの公式試合後のような、否。それ以上に激しく踊り、それで腕の中の
__俺の鼓動で起こして仕舞わぬだろうか。
二十五話 『生殺し』→←二十三話 『誰にも文句は言わせねえ』
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凛 - 面白かったです!ゆっくりでもいいので更新待ってます (2022年12月5日 18時) (レス) @page33 id: 0db889cc25 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - かっちゃんさん» コメントありがとうございます。この作品を読んでいただき誠にありがとうございます。これからもご愛読頂けますよう努力致します。 (2020年5月5日 16時) (レス) id: 59a8307c61 (このIDを非表示/違反報告)
かっちゃん(プロフ) - この小説が好きすぎて何十回と読んでます!!! (2020年5月5日 1時) (レス) id: df35ba2e7b (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - もちもちのだいふくさん» コメント並びにご感想誠にありがとうございます。もちもちのだいふくさんの応援は必ず作者の後押しになります。今後ともどうぞご贔屓によろしくお願い致します。 (2020年3月8日 0時) (レス) id: 59a8307c61 (このIDを非表示/違反報告)
もちもちのだいふく - コメント失礼します! この小説すごく面白いし、見やすくてすごいと思いました! 更新頑張ってください(*^^*) (2020年3月5日 21時) (レス) id: 3ed7899564 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイ | 作成日時:2015年12月19日 13時