十七話 『出会えたよ』 ページ17
有希子さん＿＿お母さん、と、夕食の準備をしている最中、スープの具材を刻んでくれ、と頼まれ、私の知るものとは若干違うものの、包丁を手に私は慣れたように野菜を刻んでいった。
私の手捌きを見て、お母さんは感心したように口を開いた。
有希子「すごぉーい……。慣れてるのね！」
『は、じゃなくて、う、うん。先生に拾われてからはずっと私が勝手場を任されていたから……』
有希子「かってば……。ああ！ キッチンのことね！」
ここでは勝手場をキッチンと言うらしい。早くこの世界に慣れなくては、という使命感が湧き上がってくる。
＿＿やはり、《母親》、《お母さん》、というものはまだ、慣れない。
隣に立つこの人が私のお母さんになってからまだ一日も経っていないのだから仕方がないのかも知れないけれど、少し、胸がくすぐったい。
この人は太陽みたいな人だな、と思わせられるような温かさと明るさを兼ね備えている人。こういう人は少し、羨ましく感じることがある。
有希子「＿＿もっと聞かせて！」
『＿＿……え……？』
不意に言われた、その言葉。
有希子「Aちゃんはもう私の娘なのよ？ お母さんとして、娘のことを知りたいと思うのは当然じゃないかしら！」
『…………』
言葉を失ってしまった。何というか、どう言葉にすればいいのかが解らない。胸がくすぐったい。嬉しい、ような。恥ずかしい、ような。
＿＿そうだ。私、《これ》……覚えてる。
初めて、あの
＿＿とても、心地が好い。
有希子「あっ！ 赤くなってる！」
『えっ』
有希子「耳！ 林檎……っていうか、苺みたいよ！ 可愛い！」
野菜を入れるための皿を出していたお母さんは、野菜を切っている途中の私に抱きついてきた。
はっきり言って酷く恥ずかしい。けれど、酷く＿＿温かい。
有希子「Aちゃんは照れ屋さんなのね！ Aちゃんのことが知れて、凄く嬉しい！」
『っ……！』
＿＿お母さん。こんなにも、温かいものだったんだね＿＿。
＿＿銀兄。私……あなたと同じくらい温かい人に出会えたよ＿＿。
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凛 - 面白かったです！ゆっくりでもいいので更新待ってます (2022年12月5日 18時) (
レス) @page33 id: 0db889cc25 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - かっちゃんさん» コメントありがとうございます。この作品を読んでいただき誠にありがとうございます。これからもご愛読頂けますよう努力致します。 (2020年5月5日 16時) (レス) id: 59a8307c61 (このIDを非表示/違反報告)
かっちゃん(プロフ) - この小説が好きすぎて何十回と読んでます！！！ (2020年5月5日 1時) (レス) id: df35ba2e7b (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - もちもちのだいふくさん» コメント並びにご感想誠にありがとうございます。もちもちのだいふくさんの応援は必ず作者の後押しになります。今後ともどうぞご贔屓によろしくお願い致します。 (2020年3月8日 0時) (レス) id: 59a8307c61 (このIDを非表示/違反報告)
もちもちのだいふく - コメント失礼します！ この小説すごく面白いし、見やすくてすごいと思いました！ 更新頑張ってください(*^^*) (2020年3月5日 21時) (レス) id: 3ed7899564 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイ | 作成日時：2015年12月19日 13時
