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ふっと意識が戻って、目が覚めた。
ここは車の中だった。
僕は七人乗りの一番後ろの列に横になっているようだ。
状況を把握しようとしていると視線を感じ、顔を上げると前の列に座っている人が僕を凝視していた。
その人は紛れもなくパンPDだった。
どうにかして逃げようとともがくも、後ろ手で掛けられた手錠によって動きが封じられていた。
さらに、あの時腹部に重い蹴りを食らったため、少しでも動こうとすると激痛が走る。
僕には逃げる手段がないと分かった。
だから大人しく、横になることにした。
「何か聞きたいことは？」
窓にはカーテンがかけられていて、車内は暗いから、パンPDの表情が分からない。
でもいつものように嘲笑うような顔をしていないのは確かだろう。
声色がどことなく沈み込んでいるように聞こえる。
「どうして、僕の居場所が分かったんですか。」
「以前、10人グループのリーダーを名乗る人が、君を訪ねたことがあっただろう。
あの時、小型GPSを君に付けてくるよう頼んでいたんだ。」
あぁ。そうだったのか。
だからあの人は、僕を何度ものぞき込んだり、ドアの隙間から僕をみたりしていたんだ。
僕の体にGPSが付いてるか確認するために。
「僕を捕まえて、どうする気ですか。」
「普通の練習生に戻ってもらう。
もう、きみが一緒にいた人たちには会えないよ。」
「えっ、何でですか？」
「私は、あいつらのスケジュールを決めることだってできるんだ。」
ずっと絡まっていた糸が今、解けた。
二週間会えなかったのも、イケメンたちがニュージーランドに居たのも、
なかなか帰ってこなかったのも、全部。
パンPDが僕たちを引き離そうとしていたからだ。
「僕は、これからどうすればいいですか？」
「BTSを 捨 て な さ い 」
そうか。
あの人たちは、BTSのひとだったんだ。
だからジミ二ヒョンは笑ってたんだ。
だからナムジュニヒョンは二つ名前があるって言ったんだ。
もう、あの人たちと曲作りをすることは諦めよう。
そう思って何もかも吹っ切ろうとしたのに、僕の頬には水が流れた。
「どうして、僕はあの人たちと曲を作ったらダメなんですか？」
「君たちが、秀才だから。」
パンPDがそういった瞬間、車内が突然騒がしくなった。
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作者名：さくらンぼ | 作成日時：2020年3月25日 14時
