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ここがニュージーランドだとは分かるけど、他の情報が一切無いからこの建物がどれくらい大きいのかさえ知らない。
イケメン達に連れられて作業室に案内された時は、本当に驚いた。
まずこの建物に作業室がある事に驚いたし、豊富すぎるくらいの機材に驚いた。
イケメン達は見慣れているようで、さらさらと説明をしてくれた。
作詞作曲担当なのはナムジュンさんとユンギさんのようで、ユンギさんがパソコンの前の大きな椅子に座り、ナムジュンさんがユンギさんを囲うように立った。
まずはパッとメロディーを作ろうとしていたユンギさん達は中々手が進まないようだった。
「あぁーーだめだ。
メロディーが浮かばない。」
ナムジュンさんがこれはどうですか？、とかアイデアを出すけど、本人もイマイチパッとしないようだった。
数十分経ち、やっと閃いたような顔をしたユンギさんが椅子を回転させて僕を見た。
「おい、A。
歌え。」
えっ、と声を出した僕にユンギさんは、まだ聴いてなかったし、なんか思い付きそうだと言った。
作業室にはユンギさんとナムジュンさんと僕の3人しか居ないけど、期待の目を向けられるとスタージに立っているくらい緊張感が募り、声が出ない。
ナムジュンさんはそんな僕に気付いたのか、やめましょうよ、と言った。
でもユンギさんは厳しい顔で歌えと強く言った。
そうだ。歌わなきゃ。
と思うほど、声が出なくて汗が噴き出てくる。
また、無意識に首を抓った。
ナムジュンさんは首を痛めつける手をそっと離した。
「A。」
ナムジュンさんが僕をみて歌うか？と聞いた。
僕は思いっきり頷いた。
こんなところで歌えないなんて、音楽の道に行けるわけがない。
頷いた僕をみて何故かナムジュンさんは僕の背後に回った。
どういう事だろうと考える間もなく、大きくて暖かい手が僕の目を隠した。
ナムジュンさんは落ち着いて、と僕に言った。
視界が真っ暗になった事で少し肩の力が抜けた。
「A」
僕の前でユンギさんの低い声が聞こえた。
僕はまぶたに練習室の光景を思い浮かべて、息を吸い込んだ。
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作者名：さくらンぼ | 作成日時：2020年3月25日 14時
