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「えっ、僕だけが歌うんですか？」
匿名で音楽活動をすると決めた僕達は、どうやって曲を出すか話し合うことにした。
まずはYouTubeに「Mid-G」というチャンネルを作ること。
それと僕はAという名前をじゃなくて「Tayna」という名前を使う事にした。
パンPDにバレないためだ。
そして最後。
曲の内容のことだ。
僕が誰がボーカルをするんですか、と聞いたらあたかも当然の様にユンギさんが言った。
僕は1人で歌うというのだ。
それを知らなかったのは僕だけで、驚いてる僕を不思議そうに見つめられた。
「Aは1人で歌いたくないの？」
ナムジュンさんが聞いてきた。
僕は即座にそうじゃないと言った。
「あの、何で僕だけなんですか？
ジミンさんとか歌上手いですよね？」
それを聞いたナムジュンさんは何とも言いづらそうに口を開いた。
「いやぁ、何というか...。
僕らは名前が２つあるんだよ。
だから、偽名を考えるのがめんどくさいというか。
いっそ、Aだけメンバーを公開すればそれをしなくていいじゃないか？」
「あー。えっ？」
「名前が２つあるという事には触れるなよ。」
「あっ、すいません。」
「主な旋律はお前だけど、リードボーカルとかサブボーカルとかはいるから安心しろ。」
遠くから声をかけてきたユンギさんは僕を見ないで
机の上の紙と睨めっこしていた。
その紙にはこれまで話したことがまとめられている。
僕を安心させたいなら目を見て微笑みかけたりすればいいのに。と思った。
でも、見て分かるくらいドライなユンギさんがそんな事をする日が来るとは思えないから望まない様にした
この後も着々と話し合いが進み、大体の活動内容は決まった。
僕は1人で歌うという事に普段の様なものを感じていた。
ジミンさんには書かれたものの、僕は歌声を誰にも披露していない。
だからとんでもない期待をされてそうだ。
きっとイケメン達の理想の歌声と現実の歌声が、あまりにも違くて失望させてしまうかもしれない。
僕はそんな事を考えるうちに、自分で自分の喉を抓っていた。
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作者名：さくらンぼ | 作成日時：2020年3月25日 14時
