12 ページ12
・
今日もだ。
二週間前は孤独じゃなかったのに、今日は練習室に一人。
Save me 今の僕にそっくりな言葉。
12:35分。僕はありのままの自分で歌い始めた。
鏡を見ると気持ち悪い顔をしていたから、かき消すように声を大きくした。
思い返すと、僕は少し浮かれていた。
やっと、この生活から逃げられると信じていた。
相変わらずパンPDの言っていたことは分からないけど、もうどうでもよくなった。
ふと、視線を感じた。
ドアの小窓から誰かが僕をのぞいていた。
背筋からザワッと冷たくなり、腕に渡ると鳥肌が立った。
「え、だ、誰ですか...?」
その人はゆっくりドアを開けて入ってきた。
じっと目を凝らすと、僕と同じくらいの歳の人で、身長は僕よりも10�儖幣綛發�った。
「あのさ、俺、これからデビューするグループのリーダーなんだけど、君が加入するって聞いて見に来た」
_Aは10人グループの空いてる枠に入る__
あ！パンPDが言ってた...
あの話、マジでやる気なんだ。
「えっと...僕...」
「説明しなくてもいい。
俺、最初は親のコネか何かで入るのかと思ってたんだけど、ちゃんと努力してるみたいだから良かった。
君なら、僕達と一緒にデビュー出来る」
ちゃんと努力してる？
僕はそんなこと分かりきってる
しゃがみ込んで僕の顔を覗き込んだ男の人を睨んだ
男の人、ていうより男性っぽい顔付きで、大人な雰囲気がすごかった。
男の人は一瞬困惑したような顔をしてから、後ろへ下がった。
「ごめん。何か気に触ることした？」
「いいえ何も。」
「そうなの？」
男の人がまた僕の顔を覗き込もうとしたので、僕は咄嗟に走って練習室から逃げた。
男の人は僕を追いかけては来なかったけど、廊下を走る僕をドアの隙間から見ていた。
気味の悪い人だった。
僕はなんたって、アイドルなんかやるつもりはないんだ。
僕は音楽がやりたい。
こっちを見ている男の人から目をそらして逃げた。
曲がり角を4回くらい曲がったので、もう大丈夫かなと廊下を歩くと、僕はそのまま意識を手放した。
何があったのか、僕は一瞬過ぎて分からなかった。
遅くなってごめんなさい
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 215人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さくらンぼ | 作成日時：2020年3月25日 14時
