嫌いになれたら (ページ8)

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バレたページ8

「やっほー、A☆」

一日ぶりの乱数さんの声に、なんだか少しだけ嬉しくなりながらも、乱数さんと話をする。

「ねえ今暇？暇でしょ？どこにいるの？今日もどっかいこーよ！」
『あー…今、わけあってヨコハマにいるんだよ。MTCの入間銃兎さんのとこ泊めてもらってて。別にどっか行く分にはいいんだけど…』
「ふーん…だってさ、一郎」
「ああ、ありがとな、乱数。助かった」
『…は？』

電話口越しにまったく予想もしていなかった名前と声が聞こえてきて、つい素っ頓狂な声を出してしまう。けれど、すぐに状況を理解した。きっと、一郎が乱数さんからの電話なら出るだろうと思い頼んだんだろう。ほんっと、ずるい奴。

「ごめんね、A。一郎がどうしてもって言うから、つい」
『…信じてたのになー、俺』
「ごめんってー…今度行きたいとこ連れてってあげるから、ね？」
『許す』
「あははっ☆ちょろ～い」

楽しそうに笑う乱数さんにつられて少しだけ笑う。乱数さんのことは許したけれど、一郎の事を許す気はさらさらない。

『それじゃ…そろそろ切るわ。またね、乱数さん』
「うん、まったねー」

乱数さんからの電話を切り、大きなため息を吐く。明らかに落胆する俺を見て、向かいの席に座り直した銃兎さんは小首を傾げた。

「どうかしたのか？」
『…一郎に俺が今ここにいることバレた』
「それでそんな顔してるのか。まぁ、それに関してはドンマイとしか言いようがないな」
『むぅ…どうしよ…』

項垂れる俺を上から見下ろし、男らしくも綺麗な手で俺の頭を撫でたかと思ったら、すぐにハッとしてその手をどける。銃兎さんがしたその行動の意味がよく分からなくて、今度は俺が小首を傾げた。

「諦めて帰るしか道はないだろ。別に、何かあったらまた泊まりに来ればいい。話くらいならいつでも聞いてやる」
『ホント？ハハッ、銃兎さん良い人だな。じゃあ、そうするわ』
「ああ。そうだ、連絡先、交換しとくか？」
『うん！』

まさか銃兎さんから提案されると思っていなかった連絡先の交換を済ませてから少ない荷物をまとめると、銃兎さんの家を出た。今まで大した交流もなかったのにここまでよくしてくれた銃兎さんに感謝をすると同時に、今度また喧嘩したらここに来ようと決めた。きっと銃兎さんなら、呆れながらも話を聞いてくれるだろうから。