番外編 あの後 ページ15
あれから間もなく、リビングでショッピングの予定を練り終えた後に、二郎が口を開いた。
「そういやさ、モデルって居場所が欲しかったから始めたんだろ?ならもう続ける必要ねーんじゃねえの?」
「まぁ、そうだな。二郎の意見に賛成するのは癪だが、無理に続ける必要はないと僕も思うぞ」
「なんでテメェは一々余計な一言をいれんだよ」
『三郎がツンデレってやつだからだろ。…心配してくれんのは嬉しいけど、無理はしてねーよ。あの仕事は純粋に楽しいから』
「そうか。俺はあの仕事に反対してるわけじゃないから、Aがやりたいようにやればいい」
ポンポンと優しく頭を撫でられ、一郎と微笑み合った。まるで昔に戻ったかのようなやり取りができることが嬉しくてニヤつきそうになるのを必死に抑えていた。
「そうだ、一兄。今日は久しぶりに外食にしませんか?」
「そういえば、もうすぐ夕飯時だしな。そうするか」
『じゃあ先シャワー浴びてきていいか?結局さっきも浴びずじまいだったし』
「ああ、勿論。二郎と三郎も出る準備しとけよ」
「「うん/はい!」」
着替えをもって風呂場へ行き、サッとシャワーだけ浴びると、身体を拭いて服を着て、ドライヤーと櫛を持ちリビングへ向かった。
『一郎ー、髪の毛やってー』
「別にそれくらい構わないが…珍しいな」
『弟は兄貴に甘えるものなんだろ?今日はもう疲れたし、一郎やってよ』
「ああ!」
昔もこうして頼んでいたから、一郎の手つきはどこか手慣れている。髪の毛を乾かし、櫛でといてもらうと、適当に髪の毛を整えた。これで外に出る準備は万端。
「よし!それじゃあ行くぞ、二郎、三郎、A」
『さーぶろっ、おててつなご』
「ああ、いいぞ」
差し伸べられた手をぎゅっと握ると、三郎も握り返す。談笑しながら歩いていると近くのファミレスまではあっという間で、店内に入り席に案内され、メニューを見る。
『うーん…ミートドリアとミートパスタ、どっちにしようかなぁ…』
「じゃあ両方頼めよ。食いきれなかったら俺が食ってやるから」
「二郎が食べたいだけだろ」
「なんか言ったか、三郎」
「何も言ってましぇ〜ん」
「コイツ…!」
ボソッとした呟きに、二郎が食って掛かる。そうして喧嘩が始まる。
こいつら、この短時間で何回喧嘩したんだろうな、マジで。毎回宥めてる一郎が可哀想になってきたわ。
まぁ、でも、そんな兄貴たちが、心から愛おしく感じてしまうのが、弟の弱みってやつかもな。
終わり ログインすれば
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Makua*ぼっち - とても面白いです!更新頑張ってください! (2022年3月8日 17時) (レス) @page9 id: 5e3e454f6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:眠兎 | 作成日時:2022年2月23日 22時