素敵なお誘い ページ4
今日はオフ。家でゴロゴロしながらお気に入りの小説を読んでいると、机の上のスマホが震えた。どうせまた左馬刻からだろうと画面を見ると、珍しくその相手は理鶯だった。
「突然電話してすまない。今大丈夫か？」
『うん。理鶯が電話してくるなんて珍しいじゃん。どうかしたの？』
「ああ。いい獲物を捕獲できたから、是非貴殿に馳走したいと思ったのだ」
理鶯の料理は嫌いじゃない。嫌いじゃないけど、苦手だ。何が違うのかと言われると少し返答に困るけれど、取り敢えず苦手なのだ。材料が一般的には食べられていない物の為、胃が受け付けない。
だから、理鶯を傷つけない程度に断る必要がある。
『素敵なお誘いだけど、久しぶりに会うし、理鶯の野営地より俺の家でゆっくりしたいかも…で、俺の大好きなカルボナーラを作ってほしいな。…ダメ？』
「ふむ…貴殿がそれを望むのなら、この獲物は左馬刻と銃兎に振る舞うことにしよう。では、今からそっちに行っても構わないか？」
『もちろん。楽しみにして待ってるね、理鶯』
内心左馬刻と銃兎に申し訳なさを感じつつも、電話を切った。理鶯が来るまでになるべく部屋を片付けて、服も選ばないと。理鶯が来る前に終わらせないとな。
ぐっと背伸びをして、まずは服を選び始めた。
それから、数十分経った頃。やるべきことはすべて終わってもう一度ソファに寝転がろうとすると、家のインターホンが鳴った。その音に胸が高鳴り、確認もせず玄関に向かいドアを開けると、そこには案の定理鶯がいた。
『いらっしゃい！待ってたよ』
「小官も貴殿と会えるのを楽しみにしていた」
『ふふ、嬉しい。ほら、上がって上がって！』
理鶯を家に上がらせ、ソファに座らせると、向かい合わせに膝の上に座った。理鶯の肩に手をまわしおでこにちゅっとキスをする。一連の流れを受け入れていた理鶯からほっぺにキスを返されて、微笑みあった。
『ね、りーお。もっと』
「む？今したものでは足りなかったか？」
『うん、足りない。もっと深いのが欲しい』
「承知した」
うむ、と頷いた理鶯は、俺の唇に自分のを合わせた。その状態で小さく口を開くと、口内にぬるっと理鶯の舌が入ってきた。
深いキスをしながら、流れるように押し倒される。
「今日とった獲物よりも、貴殿の方が何倍も美味しそうだ」
『はは…美味しく食べてね？』
「ああ」
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作者名：眠兎 | 作成日時：2022年1月30日 0時
