私の宝物 ページ28
誰もいない美術館を眺める。
客は、もうここの絵画を見ることはない。
それは、私もそうだった。
ここを訪れる事はもう無い。
だから、皆にちゃんと挨拶しに来たんだ。
私は一人一人の額縁に向かって歩き出した。
「あ、かんちょーだ。なにしにきた？」
最初に語りかけて来たのはSellyだった。
その声を聞いて、周りもザワザワとしだす。
「…きなこから、話聞いてる？」
恐る恐る聞いた。
皆は少し静かになった後、
最初に口を開いたのはmainyだった。
「うん、聞いたよ。皆。
寂しくなっちゃうねって。」
「…ごめんね。本当に。」
これしか無かった、なんて言い訳はもう言わない。
勇気を出さなきゃ行けない時なんだ。
「A、来たんやな。あ、謝らんでええよ。
俺ら怒っとらんから！」
次に行っただるま達にも、気を使わせてしまった。
「館長さ、そんな暗い顔せずに笑いなよ！
館長の笑った顔すっごい素敵なんだから！」
ふらんしすこはそう言って笑う。
本当に、明るい人達だ。
皆の絵画を回り、色々な話を聞いた。
皆、びっくりするほどいつも通りで。
悲しさなんて、見せてくれなかった。
今まで皆んなに貰ったものを、
私はこれからも忘れないだろう。
普段の閉館時間をとっくに超えた深夜に、
カメラを構え1枚1枚の絵画の写真を撮った。
カメラに写っているのは、ただの絵画で。
私を変えてくれた皆は何処にも居なくなっていた。
さようなら、
さようなら、私の大事な美術館。
さようなら。
＿＿＿美術館、閉館。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 139人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぺっぱーみんとkk(プロフ) - ありがとうございます！！！これからもよろしくお願い致します！！！！ (11月9日 6時) (
レス) id: 1b7e41381c (このIDを非表示/違反報告)
おととめぐ(プロフ) - 続編…嬉しいです！！ (11月9日 0時) (レス) @page31 id: c7539b4f89 (このIDを非表示/違反報告)
おととめぐ(プロフ) - こちらこそ！こんな素敵な作品を…！なるほど…もう一周してきまーす！ (11月6日 17時) (レス) id: c7539b4f89 (このIDを非表示/違反報告)
ぺっぱーみんとkk(プロフ) - わぁぁぁ！！！ありがとうございます！館長の絵画達への感情変化などにも注目してみて下さい…新しい考えが浮かぶかもしれませんよ…！！ (11月6日 17時) (レス) id: 1b7e41381c (このIDを非表示/違反報告)
おととめぐ(プロフ) - 更新に感謝！！絵画達と別れてしまうのか…今後の展開が楽しみです！プレッシャーとしてではなく、純粋に受け取ってもらえると嬉しいです…！ (11月6日 16時) (レス) @page26 id: c7539b4f89 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ﾒ布ｩ | 作成日時：2023年10月22日 16時
