捨てられない -まふまふ- (ページ7)

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「あの時さ、めちゃめちゃ喧嘩したよね」

「ね、私幼馴染に相談して凄い怒られたの覚えてる」

あの頃、自分じゃあ何も出来なかったような子供だった僕らは、気が付いたら大人になっていて。
行きつけのお店で、ゆったりをお酒を飲み交わす。

僕が僕であるためには、彼女は絶対に必要だと思ってた高校生の時。
そんな昔話に花を咲かせて、お互い再会した時にあった緊張もすっかり和らいだ。

頬が緩むのは、お酒のせいだろうか。
それとも、彼女と居られてるからだろうか。

時折見える痣、傷。
触れていいものではない。
そう思っていても気になるものは気になる。

「ねぇ。
そのさ、腕のやつ……どうしたの？って聞いても平気？」

「……彼氏、怒らせちゃって」

お酒の力を少しばかり借りて聞いてみれば、頭の中でもしかしてと1つの可能性として考えていた事を呟く彼女。

なんで。
なんでそんな奴にしたの。
もっと幸せになっていいじゃん。
なんで別れないの？
僕ならそんな奴より幸せにしてあげられるのに。

怒りとか、何か色々が混ざりあって。
なんとも言えない複雑な感情になる。

今の僕の心は間違いなく真っ黒で、消して表に出してはいけないものだった。

なんでそんな奴にしたの？とか、なんで別れないの？とかはきっと愚問なんだろう。
彼女にとって、今そいつが1番だから、選んだんだろうし、別れないんだ。