捨てられない -まふまふ- (ページ11)

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お風呂から上がってドライヤーをする前にスマホを確認する。

すると彼女から数件不在着信が入っていて、何事かと慌てて掛け直す。
それでも、通話は繋がらなくて。
どうしたの？とメッセージを入れても既読は一向につかない。

何かあった？なら彼氏に頼る筈。
もしかして、彼氏に……？

シャワーを浴びたばかりなのに、冷や汗が止まらない。

家までは行ける、無駄にいい記憶力が役立ってばっちり覚えてるから。

それでも、あの彼氏が出てきたら？
弱虫な僕に何が出来る？
嫌なくらいにひ弱な僕に彼女を助けられる？

しかも、彼氏のせいだと決まったわけじゃない。

どうしたらいいかも分からず、オドオドしていると、無意識に握りしめていたスマホが光った。

それは彼女からのメッセージを告げるもので、慌ててみてみれば、電話はミスだったと言うもの。

「嘘じゃん、絶対………」

高校時代のメールで、絵文字も顔文字も付けなかった彼女が、大人になっていきなり付け出したりするだろうか。

僕が知らない間に、変わってしまったのだろうか？

それでも、いきなり変わったりする筈はなくて、今の彼女を知らない僕は勝手に肯定する。

学生の頃で止まったままの僕からしてみれば、あの文章は取り繕っているようにしか見えないのだ。

「まだ、頼ってはもらえない、か」

そりゃそうだ。
なんてったって、今日、数時間前に再会したばかりの僕らなんだから。