まふワン ページ1
1人ステージに立って、らしくもなく泣いていた。
夢にまで見たドーム。
白いペンライトに囲まれるこの空間が、とてつもなく居心地が良くて。
この人生でよかったと、まふまふとして活動してきて今まではやっぱり間違ってなかったんだと思えた。
沢山色んなことがあった。
嬉しいことも、悲しいことも沢山経験した。
不安ばかりが溢れてた筈なのに、気づけばそんなのすっかり忘れていて、どうにも言い表せない気持ちが心から湧き出て、涙に変わる。
泣くつもりなんてなかった。
笑顔でありがとうってそうやってみんなに言うつもりだったのに。
そう思って、最後の曲に移ろうとした瞬間、ちょっと待ったーー!!!!と場違いに思える声がドーム内に響いた。
それは聞きなれたいつまで経っても愛おしい人の声。
片手にマイク、もう片手に花束を抱えてステージに上がった彼女。
メイクは崩れてるし、目は赤い。
それでもどこか、嬉しそうに、照れくさそうに笑ってボクの方へゆっくりと歩いてきていた。
「多くは、語りません。
ただ言いたいことはあります。
まふまふとして生きてくれて、ありがとう」
彼女の首には、お揃いのネックレス。
指にはお揃いのリング、手首にはブレスレット。
リングは2人で買いに行って、ブレスレットは誕生日にプレゼントで贈ってくれた。
ライブ中でも外したくなくて、付けたままだったけれど、それで本当に良かったと心の底から思える。
差し出された花束を片手に抱えて、マイクは床に置いた。
ありがとう。と彼女を抱きしめると、無言で腕は背中に回った。
ライブ中だと忘れるくらいに周りは静かで、それでも視界に入る白の光が太陽の光だと思えるくらいに、暖かく感じた。
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ホース - あの、最初の説明文のところ誤字がありますよ?いつだったらではなく、いつだったかではないでしょうか? (2019年11月6日 6時) (レス) id: 4e9296fb4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M。 | 作成日時:2019年9月12日 21時