未成年だけどコドモじゃない （映画）

26話 近づくココロとココロ ページ26

そしてある日の夜。
尚がコンビニで買い物して帰ってくると

A「きゃあああ〜〜〜〜っ！」
尚「おい、どうした!?｣

ボロ屋の中から突然Aの悲鳴が響いて、尚は慌てて中に飛び込んだ。
するとAが可愛らしいエプロンを
付けて、台所にたっていた。

A「あ、先輩、逃げて、逃げてーーーっ！」
尚「………」

Aが持ってるフライパンから、
正体不明の物体がぽんぽんと音を立てて飛び出していた。
もしかしなくても、どうやらAは、料理に挑戦していたそうだ。
尚は慌ててガスコンロの火を止めた。
……30分後
食卓はAのお手製の料理がずらりと並んだ。
紫色をした怪しいスープ。
フライだか煮物だからわからない謎の物体。
見た目がグロテスクな料理ばかりで、
尚はドン引きする。

尚「……何それ、芸術？」
A「料理。自分でやろうと思って……」
尚「新婚気取って料理しないでって言ったよね？」
A「だから！全部Aのなんです、……けど、1人じゃ食べきれないし……よかったら、その……」
尚「……」

Aは意地を張って否定しているが、これはどう考えてもAが尚のために取った料理だ。
尚は仕方なく椅子を座り、勇気を出して1口食べてみる。

尚「…………。……あれ、美味い……」
A「ほんと？やった！」
尚「え？何これ？紫なのに」

絶対まずいと思ったのに、
Aの作った料理は意外にも美味しかった。
さすがにセレブなお嬢様。
今まで三ツ星レストランの料理など、
美味しいものしか食べてなかったたべ、
味覚だけはしっかりしてるようだ。

A「じゃあAもいただきます！」
尚「あ、いただきます」

Aに釣られて、尚と食事の挨拶をする。

A「ふふふ、先輩は何が好き？」
尚「ん〜」
A「お母様の手料理とかで」
尚「別に無い」
A「え？」
尚「あの人料理しないし」
A「ふーん…これもどうぞ」

Aは嬉しそうに、ブロッコリーの入った料理を進めた。
だけどそこでピタッと尚の箸の動きが止まる。

尚「……」
A「あれ？ブロッコリー嫌い？」
尚「……」
尚は無言のままブロッコリーを口に運んた。
だけど明らかに眉間にシワが寄ってる。
Aの前で弱みを見せまいと無理して食べてるのだ。
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