夏油救済 (ページ23)

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肆ページ23

本体含めMAX5体の分身術式
どれが本体かは常に自由に選択できるんだろ？

本体が危うくなったら安全な分身を本体にする

五「いい術式(もん)もってんじゃん
なんでそんな弱いのか意味分からん」

「何故俺の術式を知っている」

五「御生憎様目がいいもんで」

サングラスを外した悟の目は蒼く輝いている
すごいな、やっぱり綺麗な目だ

戦闘に参加しないのでボケーッと見ていると
ちゃんと聞いとけよ、と前置きのもと

五「俺の術式はさ
収束する無限級数みたいなもんで俺に近づくモノはどんどん遅くなって結局俺まで辿り着くことはなくなるの」

外したサングラスが悟の両手の間浮いた様にして動きを止め
ここまでがAの出来るとこ、と付け加える

五「それを強化すると"無下限"… "負(マイナス)の自然数"ってとこかな
－1個のリンゴみたいな虚構が生まれるんだ
そうするとさっきみたいな吸い込む反応が作れる

でも意外と不便なんだよね
あまり大きな反応は自分の近くに作れないし指向性にまで気を遣い出すと呪力操作がまー面倒で要は超疲れんの」

あ、なるほど
無下限によって生み出された－1個の虚構空間
その足りない部分を埋める為に周りの空間を引き寄せる

『分かりやすい、悟説明上手いね』

さすが後の教師。教員免許持ってないけど。

五「でもこれは全部順転の術式の話
こっちは無限の発散術式反転"赫"!!」

順転により紙袋の目の前まで跳んだ悟は赫の構えをとるも
なにも起こることなく紙袋は戸惑う

フッと笑った悟のグーパンによって気絶

五「なんか出来そうって思ったんだけどなぁ」

反転は失敗だったらしい

『うん、出来そう』

マイナスの空間、呪力に意識を向け虚構を生み出す
グンｯと体が引っ張られる感覚に成功した事を実感するも勢いは止まらずそのままつんのめり転ける

行けると思ったんだけどなぁ
術式の理解の差か呪力操作の正確性の差か… たぶんどっちも。

『あーーーーー、いって』

五「はっ、六眼なし初めてでそれなら上出来だろ」

サングラスを直しながら差し出された手を借り立ち上がる

『…あざす』

五「なんだァ？照れてんのか？」

お？お？と視界を遮ろうとひょこひょこ揺れる白髪

天「どっ、どうしよう黒井が…！！」

鬱陶しい邪魔だと退けた悟の向こうからケータイを握りしめた理子ちゃんの声が聞こえる

画面には拘束され横たわる黒井さんの姿
この決して長くない時間のあいだに人質となっていた