第55話 お気に入り【精霊】 ページ5
目覚めてみるとなんとまぁ。
これがえ〜と、なんだっけ、まぁいいや。
とりあえず閉じ込められている。
「あ、目覚めた?君が噂によく聞く初代神の『お気に入り』さんでしょう?」
そう、知らない男が口を開く。
初代神の『お気に入り』
その言葉は久しぶりに聞いた。
胸が張り裂けそうに痛い、苦しい記憶を甦らせる。
「暦はどこ」
「それ、教えると思います?『お気に入り』様」
精霊の姿に戻り、殺気を込めた一言。
「言え、助けに行く」
「無駄ですよ。本来であれば貴方様は初代神の権力を受け継ぎし者、つまり天界での王。その契約さえしてもらえばーーー」
「暦を返せ。父上も権力も今は関係無い」
父上、つまり初代神、それは全宇宙を創り上げた神様。そしてボクのーー
父君であった。
「ボクは権力を受け継ぎ者では無い。だが……」
杖を操ると同時に暦の居場所を喋らない男を木の根で縛る。
「力は受け継いでいるのを忘れるな」
「クソッ…!!あいつはーー」
やっと居場所を言えたか。
そう呟くように言うと、彼を縛り上げたままおじいちゃんの場所へと向かう。
「おじいちゃん!!」
「命…?!」
檻を壊しておじいちゃんの側による。
「ッチ…来やがったか。『お気に入り』」
舌打ちをする、おじいちゃんの知り合いらしき人物。
「…?お気に入り、とはなんの事だ命」
「……どうせデタラメです。はやくかえりましょう?」
そう笑顔で人間の姿に戻ると同時におじいちゃんの知り合いらしき人物が口を開く。
「辞めなよ、初代神の娘様」
「っ…!!お、おじいちゃん!はやくいきましょ…」
そう言うがおじいちゃんはぼくの両方をつかんで叫ぶように言う。
「どういうことだ?!…命が…消えた天界の王、初代神…の娘?!」
「ちがっ…」
「違くないだろ。暦、教えてやる。そいつの正体はーー」
ぐるぐると回る昔の記憶。
主様の死…未練がましいあの時の父親…ぼくらを捨てていった母親…親友の死に際の言葉……。
おじいちゃんに触れていた手も痙攣したように震える。
ぼくは……おじいちゃんに…嘘をっ…
涙で前が見えない。
ごめんなさい。
それ以外に何も言えなかった。
嘘つきで…ごめんなさい。
「消えたもう一人の天界の王、初代神の娘だ」
第56話 昔のこと 【神】→←第54話 まぁなんとなんと【死神】
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蒼狼(プロフ) - 狐白尾 九さん» 待ちましょー (2015年11月17日 7時) (レス) id: 3ddba98499 (このIDを非表示/違反報告)
狐白尾 九(プロフ) - 蒼狼さん» まあ、気長に待ちますかー( ´ ▽ ` ) (2015年11月16日 21時) (レス) id: e0e7a8636c (このIDを非表示/違反報告)
蒼狼(プロフ) - 狐白尾 九さん» 多分そうっすね〜 (2015年11月16日 16時) (レス) id: bf3f20facb (このIDを非表示/違反報告)
狐白尾 九(プロフ) - 蒼狼さん» 他の人は、色々と忙しいんですね(多分) (2015年11月16日 16時) (レス) id: e0e7a8636c (このIDを非表示/違反報告)
蒼狼(プロフ) - 狐白尾 九さん» そうっすよ〜 (2015年11月16日 16時) (レス) id: bf3f20facb (このIDを非表示/違反報告)
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