【w。r。w。r。d】白旗を破り捨てる。【g。r】 (ページ44)

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転機は突然訪れる、なんて言葉があるが、今の状況はそれにぴったりだろう。
宣戦布告。
その4文字と、その対象となるものにAは顔をゆがめた。幹部である訳でもないがすっかり馴染んでしまい、戦場で共に戦う仲間のようなものになってしまっている。彼女もそれは自覚していて、彼らもそれを満足げにも思っていた。

「...アルシュ共和、国」
「あぁ。我々との貿易摩擦が原因だ。」

Aが次の戦争の対象となる国の名前をぽつりと呟くと、グルッペンはそれをしっかりと聞いて戦争の原因を口にした。
グルッペンはじっとりとAを見つめており、その様子をゾムやコネシマは不思議そうにみていた。
Aは下唇を強く噛み、小刻みに震える体を隠すように下を向いていた。
その理由を知っているシャオロンとトントン、ショッピはちらりと様子を伺いながら心配そうにそれを見ている。ただ1人、それに気づきつつ理由を知らないグルッペンだけは彼女を視野に入れたままだ。

「開戦日はいつなん？」
「三日後だ。突然の宣戦布告だから俺たちも準備を急がなければならないだろうな」
「兵はいつでも大丈夫なように訓練はしてるし、物資の確認だけやな」

ゾムの質問にグルッペンが答えた。それに付け加えるかのようにトントンは現状を説明し、手に持った資料をくしゃりと握る。
体が震え、頭が真っ白になったAは何も無い床を見つめながら必死に考えた。
事情を知っている彼らは助けてはいけないのだと分かっていた。
きっと、助けてしまっては彼女は自己嫌悪に陥り、迷惑をかけたとまた思ってしまう。彼女を助けることが出来る人物は自分たちではないことも分かっていた。
シャオロンは琥珀色の瞳を動かし、彼を見た。
仲間と話しながら丁寧に作戦を練り、唯一事情を知らない者の中で気づいて彼女をこまめに視界に映していた。
自分の無力さと彼への嫉妬で、シャオロンは小さく舌打ちをした。

「...はよせえや、グルッペン」

お前の大切な子、苦しんでんねん。