38 ページ38
「トントンさんお疲れ様です」
「おー、ショッピくんもわざわざありがとな」
「いえ。」
何事も無く会場に着くと、既に待機していたショッピとAがトントン達に近寄った。Aを視界に移すと、オスマンはふわりと笑って彼女を褒める。
「ええやん。可愛ええんやない？」
「...もっと適任がいたと思うんですけどね」
「おっ、照れとる？可愛いなもう」
ツン、とそっぽを向くAの頬をシャオロンがつつきながら言った。確かに彼女の頬はほんのり赤く染まっており、トントンも満足気にそれを見ていた。Aを見たきりぽかんとして突っ立っているグルッペンはシャオロンに背を叩かれ、ふと我に返る。
「好きな子のお洒落した姿、可愛いもんやろ？」
「...っあぁ、」
「お、認めるんやな。」
グルッペンの紅い瞳には確かにAが映っていた。オスマンにからかわれて頬を赤く染めるAに、グルッペンは自然と口角が上がる。オスマンが話しているところを無言で遮り、グルッペンはそっと手をAの前に差し出した。
「時間だから行くぞ」
「...はい」
「敬語。疑われるからやめろ」
「えぇ...嫌って言ったら？」
「拒否権はないゾ。承諾した以上はな。」
グルッペンの手を取り、Aは小さくため息をつく。そして挑発をするかのように笑い、Aは口を開いた。
「こう見えて演技は得意分野だからね。私に振り回されないでよ？」
くすりと笑うAに、グルッペンは思わず頬を緩ませて頷いた。繋がれた手がじんわりと熱を帯びたように感じ、グルッペンはその手を強く握る。話が一段落すると、Aは後ろのトントンとオスマン、シャオロンとショッピの方を見ると、子供のように笑った。
「行こっか、早く済ませて帰ろうよ」
「せやな。」
トントンが共感し、ショッピはほっとしたように笑う。シャオロンもオスマンもAのあまりの変わりように少し目を白黒させていたが、彼女が再び背を向けると我に返って笑い合った。
「なんや、案外乗り気やん」
「うちのAを舐めてもらっちゃ困るからな」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 417人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くるす*
作成日時：2019年4月14日 2時
