【w。r。w。r。d】白旗を破り捨てる。【g。r】 (ページ35)

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「グルッペンはさあ、なんでそんなにAと接触しようとすんの？」

Aが部屋を出てすぐの話だった。シャオロンは敵意を含んだかのような視線をむける。その声が耳に溶け込むと、トントンもグルッペンの方を横目で見た。2つの視線を向けられた彼は不思議そうに首をかしげている。

「...俺も知りたい。グルさんがAに執着しとるようなもんやし」
「言っとくけど、今Aは俺のみたいなもんやで。主従関係だと思ってるAはまず主の命令があるし。」
「...お前はそんなにアイツのことが好きか」
「当たり前やろ」

グルッペンの赤い瞳が細められた。シャオロンはそんな様子のグルッペンを視界から外し、ぼうっと向こう側の壁を眺める。彼女がここで心の底から笑うことはまずない。もちろん、それは幼少期の扱いからだ。異性を恐れ、近づこうとしない。

「...アイツはな、優しいねん。優しすぎた。簡単に裏切られてまうし、それを責めようともしない。その様子やと、グルッペンは気になってんねやろ、Aのこと。」
「ほう。間違っていないがな」
「最終的に決めるのはアイツや。でも、この調子で行けば確実に道のりは長い。Aを泣かせたら俺はもう二度と会わせない。」

彼の決意だった。
眉間に皺を寄せ、琥珀色の彼の瞳は憎らしく細められる。自分がいくら捕まえようとも、するりと腕から逃げ出してまた彼女は痛めつけられる。自分の弱さに腹が立った。

「...まあ落ち着けやシャオロン。現に今Aと距離が近いのは俺とお前とショッピくんだけ。俺は今の状態のAは知らへんし、ほんとに小さい時のことしか知らん。」

けど、Aが関わるのを恐れとるのは確実や。あいつがまた笑ってくれるようにまずは、自分たちがしてくれた恩を返すべきやろ。
赤がふわりと笑う。彼の心に詰まった恋情は、今だけ知らないふりを。