【w。r。w。r。d】白旗を破り捨てる。【g。r】 (ページ20)

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「...ここか。案外人は居ないっぽいね」

ちらりと周りを見渡せば、監視カメラが怪しく光った。敵国の地下。薄暗く、監視カメラに映ってしまえば命はない。こんな中にAは平然と立っていた。
見た感じ、兵は口と耳、目をタオルらしきもので隠され、後ろできつく縛られていた。手も足も椅子に座らせたまま縛られていて、その姿は最早生贄のようだった。...まぁ、生贄であるのは間違いないが。
既に解除してある起爆装置をAは睨み、唯一呼吸ができるようにと解放されている鼻ならば、毒ガスを充満させても効果はあるだろう。しかし、Aだって無闇に人をころすのはいけ好かない。考えが浮かばず、Aは下を向く。
床にぼんやりと顔が映り、不思議に思ったAはしゃがんでその床を軽く叩いた。カン、と軽く乾いた音が聞こえ、Aは顔をゆがめる。見た感じ、部屋は壁も床とおなじ素材だろう。

「...この人たち、どちらにせよ扱いは良くなかったんだ」

カン、と乾いた音がし、Aの顔がぼんやりと床に映ったのはそれが金属だったから。
金属は熱を伝えやすく、この部屋は1部突出しているように作られている。つまり、外部からの温度の影響をもろに受けるのだ。その上金属ともなれば、これから暑くなる夏の気温が直接伝わり熱中症で倒れ、死んでしまうだろう。
よく見れば彼らの腕には傷が目立った。

「...ふぅん、そういうこと」

つまり彼らは、元からこの人たちを捨てるために戦争を始めたのだ。
我々国を狙った理由はなく、自爆特攻であれば前代未聞。我々国は混乱し戦力が落ち、彼らを捨てると共に我々国を手に入れる。この国側にとっては万々歳だ。
彼らも、この国に忠誠を誓う気は無いのだろう。その意思を彼らが示した。

「...モールス信号を使って一か八か、ね。」

音が出ればそれでいい。括られた腕で、椅子を叩いて音を出すことくらいは出来るのだ。
耳を塞がれてるとはいえ、タオルだ。ましてや彼らは紛れもなく軍人で、人の気配に気づくかないはずもない。この国のトップらは頭が悪いと有名だから、長い間する人の気配にかけたのだろう。

「...そうだね、とりあえず城の内部からの部屋の鍵を閉めて、ここにあるドアの鍵を開けておこうか。」

あとは彼らに託してよさそうだ。