【w。r。w。r。d】白旗を破り捨てる。【g。r】 (ページ11)

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「それで、何があったの」

Aはマグカップに注いだココアをショッピに渡し、彼がちまちまと飲むのを眺めながら質問した。ショッピは眉間に皺を寄せ、何かに押しつぶされてるような、責められているような表情のままだ。

「...アイツに、追いかけ回され、て」
「バレたの？」
「国の幹部になったからにはって多少は心配しとった、けど、」
「危機感が無さすぎるよそれ。甘い。」

はぁ、とため息をついてAは毒を吐く。
彼女の冷たい態度にショッピは慣れているのか気にすることなくマグカップにまた口をつける。いつもより口数の少ない彼にAは少々驚きながらも沈黙を少しでもなくそうと口を開いた。

「...城に戻らなかった理由は？」
「もう幹部ってことまでバレとる。誰にも話してへんからみんな城に入れてしまうやろうから」
「まぁ...そうだね、賢明な判断だね。」

Aは頷くと立ち上がった。
その様子を見ていたショッピはどこか不安そうに首をかしげ、Aに視線を向けた。
その視線に早くも気づくAはん？と声をもらし、キッチンの方を指さした。

「そろそろ晩ご飯作らなきゃ行けないからね。食べてく？今日泊まってくんでしょ」
「え、あ、...ええの、？」
「自分から来たくせに何言ってんの」

彼女の言葉の棘の分だけ優しさが詰まっている。Aの不器用な優しさだと知っていたショッピは不安に染まる紫色の瞳を嬉しさで被せて染めると、ぱっと笑った。その様子を見たAもふっと口角を上げて笑い、キッチンへと消えていった。残されたショッピは少し冷めてしまったココアに目を落とす。寂しそうな自分の表情が映り、ショッピはさらに眉を下げた、

「...ごめん」

きっと貴女を、困らせてしまっている。
どうしようもないほどに貴女を求めてしまっている。迷惑なはずなのに、否定せずに受け止めてくれる彼女の優しさに胸が締め付けられた。