【w。r。w。r。d】こちら、名折れ捜査サーカス団員。 (ページ33)

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閉幕は迫る。ページ33

瞳を潤ませた鬱と目が合うと、Aは困ったように笑う。

「...Aちゃんはさ、どうやって生きてきたん？」

「私？」

撃つの純粋な問いにAは首を傾げる。その中には話したくない、思い出したくないと言った多少の負の感情が混ざっていたが、Aもそこまで弱くはなかった。過去のことで、そんなことをする人は全体的に見て少ない。自分の運が悪かっただけで、そんな人と出会うことはほとんどないのだ。大丈夫だと自己暗示し、Aは口を開く。

「...親が離婚して父子家庭でね、性的暴力とか殴られたり蹴られたりってよくあったの。」

「な...っ、」

「人間の心って案外わかりやすくて、こういう親が厳しかったりする人って学校で仕切ろうとするでしょ？」

それが八つ当たりだとも分かってたし、現実は変わらない。じゃあ、行き場のないストレスは楽しさで消してしまえばいい。
Aは目を伏せながら話す。カフェの緩やかな空気が流れる中でここだけどこか堅苦しい空気が存在しているが、彼らはそんなことを気にする間もなく衝撃の事実に体を固まらせていた。

「で、その結果私は趣味に没頭。組織に入る能力が身について、逃げ出すためにこの組織に入ったの。」

「...ごめん、こんなこと聞いちゃって。」

「大丈夫大丈夫、話そうが話さまいが過去は変わらないし、損は無いからね。」

ただ、シャオロンくん達が楽しく生きられればいいからね。こういう経験してるとこうやってアドバイス出来るでしょ？私はもう過去のことは気にしてないし、トラウマでもなんでもないから。
明るく笑うAにコネシマが悲しそうに顔を歪めたが、そんな顔しないでよとAが言えばどこか不服そうに机に伏せた。ゾムもシャオロンも普段の明るさはどこに行ったのか、Aから目を逸らして悲しそうにそっぽを向いている。

「はい、暗い話おーわり！大丈夫だって！みんなが悲しむ必要は無いから！」

「で、でもそれくらい白瀬さんは辛い思いして...！」

「それを上手く利用したから今こうやって楽しいんだよ、結果オーライってやつ！」

彼らは優しすぎるのだ。
だからこそ、異性と接することを恐れた。
だからこそ、Aの過去に苦しんだ。
だからこそ、昔の自分を無理に受け入れようとした。

「人生ってね、そんなに面倒くさいものじゃないよ。」