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温め直したお粥を持ったAが戻ってきた。



『こっち、来れますか?』



机におぼんを置きながらAは云った。

乱歩はそんなAをじっと見つめる。



「……食べさせてくれないの?」



Aは目をぱちくりさせて驚いている。

__風邪の時くらい甘えてもいいよね?



「Aが食べさせて」



もう一回云うと、Aはふふっ、と笑った。

そして木製のスプーンを持って、お粥を掬った。

それをふーふー、と少し冷ますと、僕の方へとスプーンを向ける。



『はい、乱歩さん。……あーん』



上目遣いで、控え目に、けれどいたずらっ子の様な可愛い表情でAは云った。

ぐ、と乱歩は頰を赤らめる。

__確信犯だ。



『食べさせてと仰ったのは乱歩さんですよ?』



こてん、と首を傾げるA。

__やっぱり確信犯だ。

こうすれば乱歩は照れる、というのを判った上でやっている。

ずるくて、いじわるで、けれどそんなところも可愛いと思ってしまう自分がいる。

惚れた弱みというやつだろう。

乱歩は思い切ってそのスプーンにのっているお粥を食べた。



『美味しいですか?』



今度は確信犯などではなく、素で首を傾げるA。



「……美味しい、けど、恥ずかしい」



ぎゅっ、と布団を握って俯く乱歩。

語尾に連れて次第に声が小さくなっていく。

Aは、乱歩さんが云い出したのに、とくすくす笑っていた。

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こめこめコメダ(プロフ) - 小説久し振りに読んだ時に、「あれ、夢主ちゃん居ないな……ハッ、元々居ないんだっけ!?」と勝手に錯覚してました。性癖にクリティカルヒットです。ありがとうございます。 (2022年12月9日 16時) (レス) @page2 id: 3c5b67e3ca (このIDを非表示/違反報告)
mumu - とっても面白くて大好きです!これからも更新楽しみにしています! (2017年9月3日 16時) (レス) id: c0a4f66fcd (このIDを非表示/違反報告)
4もぎもち(プロフ) - 社長の反応にツボった(笑) 続き楽しみにしてます!更新がんばって下さい! (2017年9月3日 16時) (レス) id: ebd1664205 (このIDを非表示/違反報告)
猫モフモフしたい - 小説読みましたッ!乱歩さん可愛すぎて昇天しそうです…!これからも頑張って下さいッ! (2017年7月17日 16時) (レス) id: 51f291162a (このIDを非表示/違反報告)
バイパー(プロフ) - 乱歩さん!!!!!!可愛すぎる!!!!これからも頑張ってください (2017年7月7日 22時) (レス) id: 9e0fe0a3ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三日月詩織 | 作者ホームページ:p://  
作成日時:2017年5月12日 18時

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