てきとう短編置場(ym×in)

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寝る前にそんなことを考えてたからか、奇妙な夢を見た。


おれは桜の木そのもので、
自分の咲かせた花が、咲いた順に少しずつ散っていくのを眺めていた。
どこかの家の庭で。

そして、もうじき花も咲かせられなくなるのを感じていた。

悲しみも絶望もなく、静かな気持ちで現実を受け止めている。

気がついたら視線が地面の少し上にある。
下を向いてて、人の形で根元に座っているらしい。

ふと、なにかの気配を感じて、ゆっくり顔を起こすと、
そこにはこの家の子なのか、
小学生くらいの男の子が、びっくりした顔でおれを見ている。

なんか山田に似てんな。


そのとき、おれの思考回路とは別の誰かが、

「おまえ、おれが見えんの？」

って言った。

ああ、今おれこの人と同化してんのか。

なんとなく理解して、桜の木と子どもの微笑ましい会話を聞いていた。
なんだか昔読んだ絵本みたいだ。


桜の木は、子どもが言った

『おれも友達になる』

っていう言葉がほんとに嬉しかったんだろう。
その想いと心からの笑顔は、同化してるおれにもわかった。
少し切なくて暖かい、木と子どもの交流。


静かな月の夜、桜の花びら、やわらかい風。
見る夢がいつもこんなだったらいいのにね。




その感覚をしばらく引きずって、
これ、あの桜の木をさがしてそこに行かなきゃ解消しねえんじゃ、
とかオカルト的思考に流されつつあったある日。

仕事で顔を合わせた山田に、

「あれから体調どう？」

って聞かれて、

「好調好調。なんともねえよ」

返すと、ほんとに安心した顔をするから、
なんか心配してくれてたんだなって、少し嬉しい。

そして、話したいことがあるから時間とってくれって言われて。

話したいこと？なんだろう。
おれに対する不平不満をこの際一気に春のぶちまけ祭り？

ちょっと不安だけど、山田からはべつに不穏な空気も感じなかったし、
いったいどんな話をしたいのかと、だんだん楽しみになってきた。

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