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私はなるべく普段と変わらない態度で
玄関のドアを開ける事にした
あまり暗い所を見せたくないから
「リノいらっしゃい。入って」
無理して微笑みながらドアを開ける
大した事ないよと何故か意地を張って
黙ったままAの後を着いてきて
広く整頓されたリビングに案内した
「そんなに心配する事じゃ無いよ〜」
後ろに立つ彼にいつも通り話し掛けたつもりだった
背後から勢いよくAは手を取られる
寒い中来たからか、その手は冷んやりと冷たい
Le「ヌナ、無理しなくて良いよ」
やっぱりリノには隠せなかった
彼の前では笑顔でいたいのに
そんな優しい声で手を握らないで
会ったときから堪えていた涙が頬を伝う
背後に立っていたリノはAの前に立ち
再び優しく右手だけを握った
「………少し怖くて」
Le「うん。怖かったよね」
リノは繋いでいた手を離し、片手で
Aの頭をそっと胸に引き寄せた
石鹸のような良い香りに包まれると
リノとの距離が近い事を実感して
鼓動が五月蠅いくらいに早くなっていく
あえて何も言わずに包み込んでくれる
彼らしいその優しさが、余計にAの心に沁みた
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作者名：雨 | 作成日時：2024年1月16日 23時
