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32-last- ページ32

いつも通りの日常に戻って
私は調子を取り戻していた


リノが側にいなくなってしまった寂しさと
彼を悲しませてしまった後悔はまだまだ消えないし
悪質な目を他人から向けられる怖さを知ってしまい
ふと泣きそうになる時もたくさんある
メンバーとファンがいなければ到底乗り越えられなかった


リノを忘れられずにいる私は事務所で
会ってしまう以外は目に入れないようにしていた



練習室で休憩中、一人でソファに座っている私は
リノと久しぶりに会った時の事を思い出す
あれから私達はまた遊ぶようになったんだっけ
リノがよく誘ってくれるようになって………



思い出すのは止めようと携帯を取り出すと
メンバーの一人が入ってきた



「A……あのさ」


A「んー?」


「どうこうしろって言う訳じゃないんだけど…作詞した人の
心境は分からないけどさ、ただ…Aは聴いといた方が
 良いと思うんだ」



A「なになに?どうしたのㅋㅋ」

 

何が言いたいのか分からないメンバーを笑う私に
彼女は はい。 とヘッドフォンを被せて
携帯で何かを再生すると静かに部屋を出て行った




不思議に思いながら落ち着く曲調のメロディが
耳に入ってきて耳を澄ませてみる



ヘッドフォンから柔らかく、優しい声がする



大好きで今も忘れられない人の歌声だった



彼女が置いていった携帯の画面に視線を向けると
その曲のタイトルであろう文字が書かれている




【 Limbo 】Lee Know ソロ曲




fin.

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作者名: | 作成日時:2024年1月16日 23時

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