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自宅ではなく会員制のホテルへ
リノを招いたAは部屋に入ってきた
彼の表情を見て涙を堪えていた
察しの良い彼は分かっているようだった
辛く苦しそうな表情を浮かべている
そんな顔をさせてしまっているのは私のせいだ
早く言わないと、と声を出そうとしても
なかなか声が出ない。すると彼が呟いた
Le「こんな状態のヌナを一人になんて出来ないよ」
少し震えている悲しそうな声だった
私も答えなきゃと詰まる言葉を無理矢理繰り出す
「リノの…メンバーの事と自分の事だけを考えて」
彼は軽く頷いた後、目線を下に逸らし俯いた
「ごめんね。終わりにしたい。」
俯いていた彼は深く深呼吸をした後、目を合わせて
頷きながら微笑む。その表情は辛い決断を無理矢理
飲み込んだかのように見えた
Le「うん、分かった。」
「ごめん……リノ……ごめんね」
涙を流しながら謝るAをリノは抱きしめて
Aの肩に顔を埋めていた。
本当は離れたくないと言っている様に
Le「ヌナ……好きになってごめんね。」
こんなに悲しい言葉は無いと思った
リノに好きになって貰えた事がどれだけ幸せだったか
それなのに、こんな言葉を言わせてしまうなんて
抱きしめていた身体を離してリノの頬に手を添えると
彼の瞳から流れた一粒の涙で手が濡れる
「そんな事言わないで…本当に幸せだった」
Le「今日だけ……最後にするから、一緒にいてよ」
「うん……そうしよう」
抱き合う事も、リノの体温を感じる事もこれで最後
離れたくない。今日が永遠に続いてほしいよ
好きな気持ちがある以上は、前みたいな関係には戻れないし
私はどうやってリノを忘れられるんだろう
Le「ヌナ…いつか恋愛が許される時がきたら
俺の事を思い出して。俺はずっと変わらないから」
リノが言ってくれたその言葉で
前向きに生きていけるような気がした
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作者名：雨 | 作成日時：2024年1月16日 23時
